2025/11/27
防災・危機管理ニュース
【バンコク時事】タイとカンボジアの国境紛争を巡り、両国首脳がトランプ米大統領の立ち会いの下、和平合意を締結してから26日で1カ月が経過した。トランプ氏は「歴史的な合意だ」と称賛したが、国境地帯の地雷で兵士が負傷したことを受け、タイ側が今月10日に合意の履行停止を表明。トランプ氏が再度仲介を試みているが、履行再開の見通しは立っていない。
タイとカンボジアは7月、未画定の国境地帯で武力衝突し、少なくとも40人が死亡した。その後、米国や中国などの仲介で停戦で合意。10月26日にマレーシアの首都クアラルンプールで、国境地帯での重火器や地雷の撤去、カンボジア兵の捕虜の解放などを盛り込んだ和平合意を結んだが、2週間後に停止に追い込まれた。
履行停止の理由となった地雷に関し、タイ側はカンボジアが設置したと主張したが、カンボジア側は設置を否定。今月12日には、カンボジア側がタイ軍の攻撃により民間人4人が死傷したと発表した。
ロイター通信によると、トランプ氏は14日にタイ・カンボジア首脳とそれぞれ電話会談を行った後、「彼らは順調にやっている」と記者団に述べた。しかし、その後も両国が歩み寄る気配はなく、こう着した状態が続いている。
トランプ政権は関税交渉を持ち出し、タイ側に和平合意の履行再開を迫った。タイ外務省は、米国から再開まで交渉を一時停止するという書簡を受け取ったと明かした。一方、タイ政府は交渉は継続しているとの見方を示している。
米国との関税交渉について、カンボジアは決着している。タイも原則合意しているが、さらなる関税引き下げを求めて交渉中だ。タイメディアは「米国の姿勢は、長年の親密な同盟国であるタイに打撃を与えた」と批判的に報じている。
〔写真説明〕トランプ米大統領(右)の立ち会いの下、和平合意の調印式に臨むタイのアヌティン首相(左)とカンボジアのフン・マネット首相=10月26日、クアラルンプール(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

防災・危機管理ニュースの他の記事
- タイ・カンボジア和平、再開見通せず=米国は関税交渉で圧力
- 高層住宅火災の死者44人に=279人と連絡取れず―香港
- ガソリン価格カルテル「県民に深謝」=石油商業組合が表明、知事は批判―長野
- 高層住宅で火災、13人死亡=邦人被害確認されず―香港
- 米メタ、グーグル半導体導入か=エヌビディア依存脱却―報道
おすすめ記事
-
-
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/11/25
-
目指すゴールは防災デフォルトの社会
人口減少や少子高齢化で自治体の防災力が減衰、これを補うノウハウや技術に注目が集まっています。が、ソリューションこそ豊富になるも、実装は遅々として進みません。この課題に向き合うべく、NTT 東日本は今年4月、新たに「防災研究所」を設置しました。目指すゴールは防災を標準化した社会です。
2025/11/21
-
サプライチェーン強化による代替戦略への挑戦
包装機材や関連システム機器、プラントなどの製造・販売を手掛けるPACRAFT 株式会社(本社:東京、主要工場:山口県岩国市)は、代替生産などの手法により、災害などの有事の際にも主要事業を継続できる体制を構築している。同社が開発・製造するほとんどの製品はオーダーメイド。同一製品を大量生産する工場とは違い、職人が部品を一から組み立てるという同社事業の特徴を生かし、工場が被災した際には、協力会社に生産を一部移すほか、必要な従業員を代替生産拠点に移して、製造を続けられる体制を構築している。
2025/11/20
-
企業存続のための経済安全保障
世界情勢の変動や地政学リスクの上昇を受け、企業の経済安全保障への関心が急速に高まっている。グローバルな環境での競争優位性を確保するため、重要技術やサプライチェーンの管理が企業存続の鍵となる。各社でリスクマネジメント強化や体制整備が進むが、取り組みは緒に就いたばかり。日本企業はどのように経済安全保障にアプローチすればいいのか。日本企業で初めて、三菱電機に設置された専門部署である経済安全保障統括室の室長を経験し、現在は、電通総研経済安全保障研究センターで副センター長を務める伊藤隆氏に聞いた。
2025/11/17
-
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方