【香港時事】香港北部・新界地区の大埔にある高層住宅で26日に起きた大規模火災では、修繕のための竹製の足場に掛けられていた防護ネットを伝って建物全体に延焼したもようだ。地元メディアによると、専門家は落下物の防止などを目的に張り巡らされた防護ネットの難燃性が欠如していたため、火が急速に燃え広がったと分析している。
 香港安全技術者協会の李光昇会長は火災原因について、溶接作業で発生した火花などが関係しているのではないかと指摘。多くの住民が窓を開け、火がネットを伝って室内の家具や衣類に燃え移った可能性もあると説明した。
 李氏によると、難燃性のあるネットの価格は通常のネットの約2倍。コスト削減のため難燃性のものが使われないケースが多く、漁網が代用されることもある。
 さらに香港では外壁工事などの現場で喫煙が禁止されておらず、作業員がたばこをくわえながら溶接作業を行うのも珍しくない。
 建設当局は10月、香港島の中心部、中環(セントラル)での火災を受け、建設業界関係者に対し、資材の難燃性を確保するよう求める通達を発出。違反があれば、調査すると警告していた。 
〔写真説明〕火災が発生した香港北部・大埔の高層住宅から立ち上る煙=27日(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)