高市早苗首相が26日の党首討論で、企業・団体献金規制に関する質問に「そんなことより(衆院)定数削減を」と発言したことを受け、野党各党から27日、反発が相次いだ。中小野党では、与党が比例代表を削減対象と想定していることに反対論も続出。あくまで献金規制の早期実現を求める構えで、「政治とカネ」を巡る対決構図が再び鮮明化してきた。
 「企業献金規制は『そんなこと』なのか。疑問を感じざるを得なかった」。27日、批判の口火を切ったのは公明党の斉藤鉄夫代表だ。
 企業献金見直しについての不一致などから自民党とたもとを分かった公明にとって、首相発言は「とても見過ごせない」(党関係者)。公明と共に企業献金の受け皿を限定する法案を国会に提出した国民民主党幹部も、「あれは良くない」(幹部)と眉をひそめた。
 党首討論で首相に質問した立憲民主党の野田佳彦代表は党会合で、「われわれは『そんなこと』を重視して戦う」と宣言した。立民は27日、国公案を大筋で了承。今国会成立へ3党が足並みをそろえた。
 チームみらいの安野貴博党首は記者会見で、国公案への賛成について「可能性はある」と語った。
 比例に比重を置く野党は定数削減を「小政党つぶし」と見る。企業献金禁止を掲げる共産党の田村智子委員長は会見で、「政治とカネの改革をすり替えたのが定数削減だと(首相)自ら示した」と指摘。れいわ新選組の高井崇志幹事長も会見で「本当に情けない。明確に反対だ」と訴えた。
 自民と日本維新の会は週明けにも、企業献金規制を検討する第三者委員会設置に向け法案を提出する方針。事実上規制を先送りする内容で、与野党の溝は深い。強まる野党の攻勢に、自民中堅は「今国会で定数削減法案を成立させる時間はない」と漏らした。 
〔写真説明〕公明党の中央幹事会で発言する斉藤鉄夫代表=27日午前、東京都新宿区
〔写真説明〕首相官邸に入る高市早苗首相=27日午前、東京・永田町
〔写真説明〕立憲民主党の「次の内閣」であいさつする野田佳彦代表(中央)=27日午後、国会内

(ニュース提供元:時事通信社)