2015/07/14
防災・危機管理ニュース
東海大学情報理工学部情報科学科の内田理准教授が代表を務める東海大学To-Collabo安心安全プロジェクトは7月10日、かながわ県民活動サポートセンター「ICTを活用した災害ボランティア情報収集・交換に関する研究会」と連携し、開発を進めるTwitterを活用した災害情報投稿システム「Disaster Information Tweeting System(DITS)」の検証実験を実施した。6月3日に続き2回目となる。
Twitterは東日本大震災時、災害情報の共有や安否確認などで多く利用されたが、現在は、今後発生する災害でのさらなる活用方法が検討されている。内田氏らは、Twitterの機能の1つであるハッシュタグに着目。ハッシュタグとは「#」記号と文字列で構成されるもので、同タグを利用することで検索性や一覧性が上がる。例えばA市で災害が発生した場合、「#A市災害」の文字列をツイート(つぶやき)に付与することで、A市で発生した災害情報の一覧を検索することができる。しかし、災害時などの緊急時に正確なハッシュタグを挿入できるかが課題となっていた。
内田氏らが開発したDITSは、GPS(全地球測位システム)などにより取得した利用者の位置情報をもとに「#A市災害」という形式のハッシュタグを自動生成し、住所と共にツイートに自動挿入する。入力画面のデザインは同大学教養学部芸術学科デザイン学課程の富田誠講師の協力で、直感的に入力できるデザインを目指した。
7月10日に実施された実証実験には、ICT研究会のメンバーや東海大の学生ら60人が参加。DITSを活用し、神奈川県内や東京都内各所から約270件のツイート投稿を行った。内田准教授は「2回の実験を通してDITSがほぼ実用的なレベルであることが検証できた。DITSから投稿された災害情報を地図上に表示するシステム「Disaster Information Mapping System(DIMS)」もあわせて開発を行なっているが、今後はDIMSの研究開発に注力し、発災時情報共有システムとしての完成度を高めていきたい」と話している。


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