自動車部品の製造を委託する下請け業者に対し、発注量が大幅に減少したのに発注単価を不当に据え置いたなどとして、公正取引委員会は8日、下請法違反(買いたたきなど)で、自動車大手スズキの子会社「スニック」(静岡県磐田市)に再発防止を求める勧告を出した。
 公取委によると、同社は遅くとも昨年3月以降、車のシートやパイプなどの製造を委託していた下請け10業者に対し、車の量産が終了して発注量が大幅に減ったにもかかわらず、一方的に量産時の発注量を前提とした単価に据え置いて発注していた。
 公取委がこのような発注単価の据え置きで勧告するのは初めてで、該当する部品は318製品に及んだ。
 車の量産が終了し、補給用のみとなると部品1個当たりの製造コストは上昇するが、同社は下請け業者と協議せずに単価を定めていた。公取委は業者側が不利益を被ったとみている。
 また、長期間発注を行わないのに、下請け14業者に金型など880個を無償で保管させていた。同社は今年10月までに、保管費用相当額の一部約840万円を業者に支払ったという。
 調査していた中小企業庁が11月、公取委に勧告を求める「措置請求」を行っていた。
 同社は「コンプライアンスの一層の強化と再発防止に努めていく」とコメント。業者に対し、昨年3月の発注分までさかのぼって発注単価を引き上げ、差額を支払うと表明した。無償保管に関しても費用相当分の残額を支払う考えを示した。 

(ニュース提供元:時事通信社)