物事の判断基準として分断構造に対する立ち位置は極めて重要(写真:Adobe stock)

数々の分断構造

昨年、このシリーズに入り多くの分断構造を語る予定であったが、チャイナリスクがにわかに現実味を帯び、そちらに引っ張られるようになった。新年は、この多くの分断をまずは整理してみたい。理由は、冷静で合理的な判断と説明責任を果たすための情報収集・分析が企業や組織、いや一個人にも要求される時代になってくるだろうからだ。

リストアップしてみると次のようになるだろうか

➊日本国内の国益優先と反日的主張
➋国際社会の民主主義と専制主義
➌グローバリズムと反グローバリズム
➍イスラム社会とその他

これらの内容を知らない人は少ないだろうが、わかりやすくするために、誤解を恐れずストレートな表現を使わせてもらった。これらの問題性、目の前に起きている事象との関連性から目を逸らし、机上の空論に終わらせる傾向が強いと感じているからだ。

自らの責任ある判断にもとづく行動の積み重ねが最適な対応を導く(写真:Adobe stock)

組織行動はもとより、個々人の活動においても数多くの分岐点が存在するが、その際の判断基準として、これらの分断構造における立ち位置が重要になる。単純にどちらにつくといった類ではなく、合理的に双方の立場から説明できる思考回路が必要だ。

自ら考え、責任を持った判断に基づく行動の積み重ねが、これらの問題の最適な対応策へと向かわせる唯一の方法だと確信している。

その観点で一つ一つ考えていくと➊日本国内の国益優先と反日的主張は、日本特有の分断といってよい。例えば、米国の共和党と民主党の2大政党は保守とリベラルと分かれていても、国防や外交などの軸足は国益優先の現実路線で基本は一致している。したがって政権交代が起きても、外交や国防面の変化は限定的だ。しかし日本の場合、極論をいうと「自衛隊は違憲だ」という政治勢力も存在する。

そこまでいわずとも、前項までに記述した中国の「戦狼外交」による「首を叩き切る」「火の海に沈める」などの発言に抗議せず、日本国内の従来と何ら変わらない法的解釈の国会質疑を問題視する行為は、どちらの立場に立っているのか疑う以外にないだろう。

日本保守党の有本香氏が日曜討論で「日中友好議員連盟が日本の世論や政策を中国側に有利に動かす活動をしていると米国防省などが報告している」という主旨の発言を行い、立憲民主党の岡田克也氏が侮辱だと抗議している。

しかし、日中友好議連に対する国際的評価にこの趣旨のものが含まれることは周知であり、かつて岸田政権時に同議連の林芳正氏が外相に就任する際に「国際社会に間違ったメッセージを送る可能性がある」と問題視されたのも事実である。

政治において国益優先と反日的主張が対立する日本特有の分断構造(写真:Adobe stock)

これらの社会的評判が事実と異なるなら、説明責任を果たすべきなのだが、法的措置までちらつかせるようでは、反日の誹りを受けるのも当然かもしれない。ましてや「国民感情をコントロールするのが政治の役割」とまで発言しては、炎上するのは当然。民主主義国家においては、国民感情はコントロールするものではなく、寄り添い政策判断に反映するのが政治の責任だからだ。