日銀は19日、金融政策決定会合を開き、政策金利である短期金利の誘導目標を現行の「0.5%程度」から「0.75%程度」に引き上げることを決めた。1995年9月以来、約30年ぶりの高い水準となる。トランプ米政権の高関税政策による経済・物価の不確実性が後退し、来年の春闘でも堅調な賃上げが続くと判断。2%の物価安定目標が実現する確度が高まったとして、金融正常化を再開する。
 9人の政策委員の全員一致で決定した。利上げは今年1月以来、7会合ぶりで、2024年3月のマイナス金利政策解除から数えて4回目。積極財政と金融緩和を志向する高市政権が今年10月に発足した後では初となる。植田和男総裁は19日午後に記者会見し、利上げの背景や今後の金融政策運営について説明する。
 日銀は声明文で、賃上げの原資となる企業収益に関し、「関税政策の影響を加味しても全体として高い水準を維持する」と説明。全国の本支店を通じて実施した企業の聞き取り調査などを踏まえ、「企業の積極的な賃金設定行動が途切れるリスクは低い」と判断した。
 その上で、賃上げ分を販売価格に転嫁する動きが続いていることから、「賃金と物価がともに緩やかに上昇していくメカニズムが維持される可能性が高い」と指摘。円安傾向が続く中、利上げを見送れば一段と円相場が下落し、輸入物価を押し上げてインフレが加速するとの懸念も今回の判断を後押ししたとみられる。
 物価上昇を加味した実質金利は依然として大幅なマイナスとなっているため、日銀は「緩和的な金融環境は維持される」として、経済活動を下支えする姿勢を強調。今後については「経済・物価情勢の改善に応じて、金融緩和の度合いを調整していく」として、利上げ路線を継続する考えを表明した。 
〔写真説明〕日銀本店=東京都中央区

(ニュース提供元:時事通信社)