政府は首都直下地震対策に関し、2015年に基本計画で掲げた「死者数、全壊・焼失棟数をおおむね半減」との減災目標は達成できなかったと発表した。前回13年の被害想定で使用した地盤データや震度分布、被害量の算定方法を変えず、この10年間の防災対策の効果やライフスタイルの変化を新たに反映させた推計を実施。死者、全壊・焼失棟数ともに3~4割の減少にとどまった。
 内閣府の担当者は「達成できなかった事実を受け止め、基本計画の見直しに生かす」と語った。
 死者数は前回の被害想定で約2万3000人と見込まれたが、10年間の防災対策の効果を反映させると約1万5000人で、減少率は約35%。全壊・焼失数は約61万棟から、約42%減の約35万6000棟と試算された。
 建物の耐震化が進み、被害の抑制がある程度は期待できる。一方で、東京一極集中が進み、東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県では人口、建物ともに増加。新型コロナウイルスの流行以降、テレワークなどが進んで「在宅率」も上昇し、建物の火災や倒壊に巻き込まれる人数を押し上げる要因となった。
 今後については、家具の固定や、揺れを検知し電気を遮断する「感震ブレーカー」の設置をはじめ、取り組みの加速が必要となる。内閣府の担当者は「個人でできる対策が進めば、さらに被害を減らせる。『自分ごと』と捉え、自宅を点検してほしい」と呼び掛けている。 
〔写真説明〕能登半島地震で倒壊した建物=2024年1月2日、石川県七尾市

(ニュース提供元:時事通信社)