今年も全国各地の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザが発生し、卵の価格が高止まりしている。指標とされるJA全農たまごのMサイズ基準値(東京地区)は、25日発表時点で1キロ当たり345円と、「エッグショック」と言われた2023年当時の最高価格350円に迫る勢いだ。感染が拡大すればさらに高騰する可能性もあり、消費者や食品業界には警戒感が広がっている。
 「感染が広がったら大打撃。どこで鳥インフルが発生するのか、ロシアンルーレットのようだ」。食品スーパー、アキダイ(東京都練馬区)の秋葉弘道社長は25日、一大生産地である茨城県の養鶏場で大規模な感染が確認されたことに警戒感を募らせた。関町本店(同)では毎週日曜日は200パック限定で1点当たり税別88円で販売しているが、開店から10分で売り切れるという。秋葉氏は「開業時からこの値段でやっているが、赤字だ」と本音をこぼす。買い物に訪れた30代の主婦は「育ち盛りの子どもがいるので、卵は欠かせない。肉や魚の代わりに買っている」と話した。
 洋菓子メーカーのモンテール(埼玉県八潮市)は、プリンやシュークリームなど、ほぼ全ての商品に卵を使っている。調達価格は11月時点ですでに23年のエッグショックの時と同水準だといい、「大変厳しい状況だ」(広報担当者)と嘆く。
 味の素は、マヨネーズを来年4月1日納品分から値上げする。今回の卵の価格上昇は反映していないが、「供給が減少する一方、メーカーと消費者の需要は堅調で、卵価格の上昇は続く」との見方を示す。「なか卯」を展開する外食大手のゼンショーホールディングスは、看板メニューの親子丼などで卵を使用しており、調達先を複数にするなどの対策を講じている。 
〔写真説明〕スーパー「アキダイ関町本店」の卵売り場=25日午後、東京都練馬区

(ニュース提供元:時事通信社)