2026/01/04
防災・危機管理ニュース
【ワシントン時事】米国によるベネズエラ攻撃は、トランプ政権の「西半球での優位」確保という野心を反映した作戦と言える。露骨な軍事介入に国際法上の正当性を見いだすのは困難だが、トランプ大統領が意に介する様子はない。国際社会は、南北米州大陸を対象に覇権主義的政策を進める米国との向き合い方を問われることになりそうだ。
「わが国はモンロー大統領以来、西半球への外国の干渉を拒むことを正式な政策としてきた」。トランプ氏は政権1期目の2018年、国連総会の一般討論演説でこう強調した。演説で引用された、南北米大陸への欧州の介入に反対した第5代大統領モンロー(在任1817~25年)の方針は、「モンロー主義」として以降の米国の外交・軍事戦略を導く重要な要素になった。
トランプ氏は1期で退陣を強いられた後に返り咲いて以降、北米大陸の北東に位置し、米国の防衛圏に含まれると見なされてきたグリーンランドの領有を目指す姿勢を明確にした。さらに、中米のパナマ運河を「取り戻す」と公言。政権が2025年12月に発表した国家安全保障戦略も「モンロー主義」に言及し、「西半球での優位性を回復する」とうたっていた。
トランプ政権はベネズエラのマドゥロ政権について、麻薬組織と一体化し米国に攻撃を仕掛ける「外国テロ組織」として扱い、軍事作戦を正当化するとみられる。しかし、主権国家をテロ組織と同等に扱う国際法の解釈には大きな疑問符が付く。むしろ、中国やロシアの支援を受けてきたマドゥロ大統領を排除することで、米国の権益を確保するのが目的だとみる向きが大勢だ。
米国では、トランプ氏の西半球政策を同氏のファーストネームとモンロー主義を掛け合わせた「ドンロー主義」と呼ぶ論調も出ている。ただ、米国が「裏庭」への介入に国力を注ぎ込めば、その分他地域への関心を低下させる可能性もある。その先にあるのは、中国やロシアとの「勢力圏」分割だ。新たなモンロー主義は、日本を含む米同盟国の安全保障にも影響を与えかねない。
〔写真説明〕トランプ米大統領=2025年12月24日、南部フロリダ州パームビーチ(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)

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