激しい揺れが体験できる地震体験車

東日本大震災から15年が経過する節目を前に、東京・大手町のオフィスビル「大手町プレイス」(東京都千代田区)で10日、防災啓発イベント「防災Meetup!(ボウサイミートアップ)」が開かれた。今年のテーマは「つながる防災」。富士山噴火など個別の災害リスクごとに専門家らが講演するなど、7つのコンテンツを用意した。震災からの復興が進むなか、オフィス街の中心で、ビジネスパーソンたちに防災意識を高めてもらう狙いなどがある。

大手町プレイスのテナント企業などでつくる大手町プレイス管理組合が主催した。大手町プレイスでは、2023年から毎年、企業のBCP担当者やビジネスパーソンらと共に、防災を考えるイベントを催してきた。企業でBCPという備えが広がりつつあるなかで、次のステップとして、働く一人ひとりの防災力を高めていくことが求められているという。

火山灰、特有の性質で被害が拡大

講演では、企業担当者が従来のBCPを見直していくきっかけにしてもらうため、新たな災害リスクについて専門家らが解説した。最初に、日本大学危機管理学科教授の秦康範氏が、富士山噴火について取り上げた。

講演する秦康範氏
 
 

前回の1707年の宝永噴火は爆発的な噴火で、同年に起きた宝永地震から49日後に噴火したことを紹介。ただ、大規模噴火(噴出物が2億㎥)は、過去5600年間で起きた175回の噴火のうち、7回(4%)にすぎないこともあわせて強調した。

火山灰が降り積もると、その特有の性質のために、被害が拡大していくという。雨に濡れると、導電性を持ち、乾燥するとコンクリートのように固まる性質があるといい、大規模な降灰によって、下水道が詰まれば、都市機能がまひする危惧がもたれている。

首都圏で除去が必要な火山灰は約4・9億㎥に及び、東日本大震災の災害廃棄物の約10倍に達するとの試算も示された。秦氏は「広く首都圏の機能が、1週間、2週間と、まひした時にどうするかというような、非常に広域の視点が必要になってくる」と指摘した。

さらに、SOMPOリスクマネジメント株式会社クライシスマネジメントコンサルティング部主席コンサルタントの石井和尋氏が取り上げたリスクが、南海トラフだ。

石井和尋氏

 

駿河湾から日向灘にかけての約800kmにわたる海溝が、全割れを起こしたり、部分割れを起こしたりする影響で、巨大地震が発生することが想定されている。

推計されている被災地の資産などの被害額は、震源が陸側だった想定時に大きくなり、224・9兆円に上るという。17兆円だった東日本大震災に比べて、被害額は「桁違い」で、石井氏はその理由として「被災地の産業集積具合が全く違う」ことなどを挙げた。

静岡大学防災センター教授の牛山素行氏も、オンラインで登壇し、豪雨災害を解説した。

洪水、土砂災害は起こりうることが、起こりうるところで発生していると総括。「ハザードマップについては、点でなく面で見ることが大切だ」と強調した。

突然、激震に遭遇したら・・・専用トラックで体験

会場には、被災地の生産者らがつくった食料品などの商品が展示販売されるなど10を超えるブースが並んだ。NTTグループは、街中にある公衆電話が、災害時に家族や大切な人と連絡を取るための「災害伝言ダイヤル(171)」として利用できることを体験できるブースを開設した。

さらに、会場近くに設けられた屋外スペースには、お茶をたしなみながら震度7の激しい揺れが体験できるトラック「地震体験車」を設置。参加者は、着物姿の女性からお茶の振る舞いを受けた後に、大きな揺れに襲われて、驚いた様子だった。