採用選考プロセスにおける調査
調査の限界、留意点等
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
2026/06/05
弁護士による法制度解説
山村 弘一
弁護士・公認不正検査士/東京弘和法律事務所。一般企業法務、債権回収、労働法務、スポーツ法務等を取り扱っている。また、内部公益通報の外部窓口も担っている。
人手不足といわれる現代社会において、人材獲得に頭を悩ませている企業・採用担当者の方は多いのではないでしょうか。猫の手も借りたいという気持ちになるほど、人手不足が深刻な状況もあるかもしれません。
深刻な人手不足だからといって、誰でも採用してよいというものでもありません。特に、ひとたび労働契約を締結した場合に解雇が制限されている我が国においては、ダメだったら解雇すればいいというような安易な気持ちで採用することはできません。
そこで、企業としては、採用選考において慎重に応募者の適正や人柄などを見極める必要が出てきます。その際には、応募者に履歴書を提出してもらったり、面接で様々な質問をしたりして調査を実施することになります。
調査では可能な限り多くの情報を得ることができた方が、企業側にとってはその判断材料が増えることになるため、便宜であるといえます。一方、応募者にとっては、あまりにも多くの情報を提供することに、ためらいもあるといえます。そこで、企業としては、適切な範囲で調査をし、それを踏まえた適切な採用選考が求められることになります。
今回は、採用選考のプロセスにおいて企業が応募者の情報を得る際の制約や行政によるガイドラインなどについて、ご説明したいと思います。
労働契約の締結に関し、企業には採用の自由が認められています。これは、契約自由の原則(契約関係は契約当事者の自由な意思によって決定されるものという原則)から導かれるものです。
そして、学説によると、この採用の自由は、①雇入れ人数決定の自由、②募集方法の自由、③選択の自由、④契約締結の自由、⑤調査の自由の5つに分解できるとされています(菅野・山川『労働法〔第13版〕』弘文堂・2024年、254~257頁)。
企業が採用選考において応募者の情報を収集することは、上記のうちの調査の自由の一環として行われているものと整理されます。しかしながら、この調査の自由も無制限に認められるものではありません。
上記学説では、調査の方法と事項とで当然の制約があるものとされ、次のように説かれています(上掲書、257~258頁)。
採用選考プロセスにおける調査については、上記学説が説くような限界があるということが重要になります。
おすすめ記事
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/07/14
AIによるメール監査で悪意なき不正リスクを事前に検知
昨今、企業の不祥事が多発している。不正会計や金銭の着服、独占禁止法で禁止される談合やカルテルなどが発覚することで企業の信用が失墜し、業績悪化にいたるケースが多い。企業の不正を防ぐ方法で有効なのが、社内のメールモニタリング(メール監査)だ。国際訴訟・不正調査のパイオニアであるFRONTEO(東京都港区)は、リーガルテック分野で培ったノウハウから自社開発したAIエンジン「KIBIT(キビット)」をコア技術に、メール監査で企業の不正リスクを検知するサービスを提供する。膨大な量の電子データから、どのように不正を発見し、未然に防ぐのか。代表取締役社長の守本正宏氏に話を聞いた。
2026/07/13
困難な工場のサイバーセキュリティ強化机上訓練で隠れていた現場力を発掘(参天製薬)
製造業にとって最も避けたい、売上に直結するサイバー攻撃による工場の稼働停止。しかし、セキュリティ対策の導入は工場ならではの困難があり、簡単にはいかない。参天製薬(大阪市北区、伊藤 毅代表取締役社長)は、サプライアーのランサムウェア感染をきっかけに、2017年から国内外の工場のサイバーセキュリティ対策を強化。工場との対話を重ね、着実に進めている。
2026/07/10
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/07/05
「情シス任せ」「コンサル任せ」では終わる
社会機能の維持に欠かせない業種でサイバーインシデントが相次いでいます。事業停止の影響は一企業のビジネスの域を超えサプライチェーン全体に波及。いまやセキュリティは経営の重要課題です。企業を取り巻くサイバーリスクと求められる対策について、日立ソリューションズの扇健一氏と辻󠄀敦司氏に聞きました。
2026/07/03
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方