日産自動車は2027年度に、市街地での手放し運転に対応した次世代の高度運転支援技術「プロパイロット」を搭載した車を投入する。22日までに報道陣に開発試作車を公開。カメラやセンサー、人工知能(AI)を活用し、人や自動車が行き交い、運転難易度が高い市街地でも、運転手がハンドルに触らず自動走行する様子を披露した。
 現行のプロパイロットは、高速道路での自動運転にとどまっているが、市街地でも運転手が常に監視し、状況に応じて手動運転に切り替える必要がある自動運転「レベル2」を実現する。販売不振が続く日産だが、高度な運転支援技術の搭載車を打ち出し、反転攻勢につなげたい考えだ。
 試作車は、電気自動車(EV)「アリア」をベースに開発した。高精度センサーを屋根の前方に取り付けたほか、11個のカメラ、5個のセンサーを使って周囲を認識。英新興IT企業ウェイブ・テクノロジーズのAIが情報を処理し、設定した目的地へ自動で運転する。
 試乗では、新橋駅前や銀座周辺を含む都心を約40分間走行した。別の車が急な車線変更で前方に入ってくると、減速して危険を回避。信号の変わり際に走って横断歩道を渡る歩行者にも対応した。途中で雨が降りだす悪条件下だったが、運転手は最後までハンドルに触らなかった。
 開発を担当する飯島徹也氏は「AIが入ったことで運転支援技術は大きく変わった。ベテランのドライバーが、集中して運転しているような安全運転ができる」と話した。 
〔写真説明〕手放し運転で市街地を走行する日産自動車の開発試作車(同社提供)
〔写真説明〕日産自動車の次世代運転支援技術「プロパイロット」を搭載した開発試作車(同社提供)
〔写真説明〕市街地を走行する日産自動車の開発試作車(同社提供)

(ニュース提供元:時事通信社)