2026/08/05
防災・危機管理ニュース
今回の地震では日本製紙八代工場(熊本県八代市)で煙突が倒壊して11人が閉じ込められ、9人の死亡が確認された。煙突倒壊はどのようなメカニズムで生じたのか。専門家は八代市付近で観測された周期の長い大きな揺れが、煙突のような細長い建物に影響を及ぼした可能性を指摘する。
気象庁によると、地震動のうち揺れが1往復するのにかかる時間が比較的長いものを「長周期」と呼ぶ。高層の建物などが揺れやすくなる特徴があり、八代市や宇城市で四つの階級のうち最大の4が観測された。
東京都立大の志賀正崇准教授(地盤工学)は長周期地震動が大きくなった要因について「震央から南の方角に向かって断層が破壊され、長周期の揺れも強くなっていった」と説明。震央の南には八代市があり、市内で周期3秒程度の揺れが大きかったことと整合するとの見方を示した。
「細長い建物は一般的に長周期地震動で揺れやすい」と話すのは栗間淳東京大助教(地盤防災)。主に断層が起こした地震の波と地表に生じたずれによって長周期の揺れが形成されたとみており、一般論として煙突倒壊にも関係している可能性があるとの考えを示した。
後藤浩之京都大防災研究所教授(地震工学)は同工場の煙突の中で倒壊したものと、していないものを比較。倒壊した煙突は部材を三角形に組み合わせて支える「トラス構造」が確認されていないとし、「まだ可能性の段階だが、トラス構造のような骨組みがあれば倒壊に至らなかったかもしれない」と推測する。
その上で「今回と類似の地震はどこでも起き得る。工場のような施設はいろいろな設備が複雑に入り組んでおり、全国で点検する必要があるのではないか」と指摘した。
〔写真説明〕地震で倒壊した日本製紙八代工場の煙突(左上)=7月29日、熊本県八代市(時事通信チャーター機より)
〔写真説明〕地震で倒壊した日本製紙八代工場の煙突(中央)=7月29日、熊本県八代市(時事通信チャーター機より)
(ニュース提供元:時事通信社)


防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/08/05
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/08/04
-
-
-
令和8年熊本地震 猛暑の被災地で熱中症を避ける
最大震度7を記録した令和8年熊本地震。熊本県内では400超の避難所が開設され、約9千人が避難している(29日時点)。真夏の避難生活は、熱中症の危険性を確実に高める。しかもこれからは、猛暑・酷暑下での復旧活動が本格化し、多くの人々が被災地で活動する。現地で熱中症をどう防いだらいいか。熱中症と災害医療に詳しい、さいたま赤十字病院高度救命救急センターの席 望医師に対策を聞いた。
2026/07/30
-
令和8年熊本地震 広がるデマ、どう見分ける?SNSとの向き合い方
28日に発生した最大震度7を記録した熊本地震では、早くも豪華寝台列車「ななつ星」が脱線したなどのデマ情報が広く拡散された。災害のたびに、広くSNSで拡散される情報にどう向き合えばいいか。デジタル空間の情報分析を専門とする Japan Nexus Intelligence の竜口七彩氏に聞いた。
2026/07/29
-
-
事例研究で有事に備え、組織の体質改善で形骸化を防ぐ
組織レジリエンスの強化やサイバーセキュリティーの向上、サプライチェーンの強靭化など、危機管理やリスク管理担当者が関与する領域は年々拡大している。変化する社会状況にあわせ、担当者はどのように学び、備え、対応することが求められるのか。森総合研究所代表の森健さんは、自治体と企業で危機管理担当者としての経験を積み、現在はコンサルタントとして、企業や団体の危機管理の支援を手がけている。自身の経験を踏まえ、危機管理の担当者にどうアドバイスしているのか、話を聞いた。
2026/07/27
-
-





※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方