災害対策本部の活動(イメージ)

災害対策本部の本質的な役割の一つに、内外の情報を収集、整理、共有、発信という「情報管理」があります。何よりも、経営者が企業としての方向性を判断するときに、もとにするものです。対応方針や置かれている状況を適切なタイミングでステークホルダーに発信するためにも欠かせません。ここでは、情報収集作業の重要性と自動化、そして対策本部の運営改善への効果について解説していきます。

情報収集機能の成熟度

通常の災害対策訓練では、発災直後の「情報収集」に焦点を当てることはありません。マニュアル上では、対策本部の各班が、それぞれ部門の役割に沿った情報を収集することが決められています。例えば、外部情報収集班は電気、水道、通信などのインフラ関連情報、内部情報収集班は本社ビルの設備情報、情シス部門は社内のイントラネットや機器の被害によるインターネットへの接続、人事部門は従業員の安否になります。

それぞれの班が調査確認したうえで、対策本部事務局にメールやグループウェアにExcelやWordを添付して報告し、事務局はまとめ作業に取り掛かります。

しかし事務局や各作業班は、この集約作業を、本当に ”できる” レベルにまで成熟できているでしょうか。BCPの成熟度は、以下を指標に評価できます。

Tier 1 BCP の対応が断片的、統制不十分
Tier 2 BCP はあるが、一貫したポリシーや管理策に欠ける
Tier 3 経営主導で BCP 管理策が定着、訓練に基づき継続的見直しを実行
Tier 4 訓練により迅速な継続的改善が行われ、アジャイル対応が可能

 

  1. 発災後3時間の情報収集で起こること

危機発生後に事務局が動き出し、対策本部が招集され、各班による情報収集活動が始まった後に何が起こるでしょうか。情報を集められたとしても、以下のような問題が発生します。

・報告書の記入法がバラバラで、状況の把握と整理に手間取る

・記入者の要約能力や表現に差があり、報告者に再確認が必要。さらに連絡がつかないままで未確認の状態が続く

・人手が足りない中で事態が変化するため、情報の更新にまで手が回らず、更新作業が繰り返される

・経営向けの報告書の作成が遅れ、経営判断に遅れが生じる

この発災後3時間の情報収集で、事務局と対策本部の各班は疲弊していき、経営陣は報告が得られないことで焦り、混乱に拍車がかかります。これが本社内という空間であれば、直接顔を合わせて口頭でも伝えるという、情報伝達の最低限の行動が可能です。しかし、南海トラフ地震で被災エリアが倍増した場合はどうでしょうか。遠隔地の被災では伝達手段にも大きな影響がでるでしょう。

この情報収集に関する問題は、事務局の組織体制にも原因があります。大企業ですら、災害対策本部の事務局要員は2名程度が一般的です。非常に脆弱な体制でありながら、初動時の情報管理業務は多忙を極めます。事務局は、司令塔としての全体把握と経営者への適切な指針提案、経営判断の支援が主たる役割であるという基本に立ち返って、この情報収集を業務フローとして今一度考えてみましょう。