最大震度7を観測した熊本地震は28日、発生から1カ月となった。熊本県によると、同日までに亡くなった38人のうち災害関連死の疑いがあるのは2人で、10年前の地震から激減した。対応した医師は前回地震の教訓を踏まえた初動を評価する一方、関連死のリスクは今後も続くとして注意を呼び掛けている。
 2016年の地震では、関連死は計223人だった。前震から1カ月の時点で、関連死の疑いとされたのは19人に上っていた。前回の地震でも県の災害医療コーディネーターを務めた熊本大病院の笠岡俊志教授は「過去の医療支援の経験を生かし、初動はすごく早かった。(それにより)助かった命は必ずある」と振り返る。
 笠岡教授は今回の地震でも、県災害対策本部で医療機関の被災状況の把握に努めた。爆発事故で7人が死亡したイオンモール熊本(嘉島町)の救助活動などに人員が割かれる中でも、県外の救急隊と連携を密にして入院患者の搬送に尽力した。
 その結果、発生から3日間で、被災した宇城、八代両市などの病院から計約450人の入院患者を搬送できた。「健康被害や関連死が少しでも減らせるように対応した」と語る。
 県によると、今回の地震で関連死の疑いがあるのは28日時点で2人。ただ223人の約4割は被災から1カ月以降に亡くなっており、今後も警戒は必要だ。
 また笠岡教授は、223人の半数以上が呼吸器系や循環器系の疾患で死亡したことにも注目する。避難生活ではストレスによる血圧上昇や服薬の中断などで発病リスクが高まるといい、関連死の約9割を占めた60代以上への対応が重要だと指摘した。
 笠岡教授は「関連死で絶対に忘れてはいけないのは自殺の問題だ」とも強調する。前回地震では自ら命を絶った人が19人おり、今後も被災者の心身への幅広い支援が必要だと訴えている。 
〔写真説明〕取材に応じ、災害関連死への注意を呼び掛ける熊本大病院の笠岡俊志教授=27日、熊本市

(ニュース提供元:時事通信社)