自宅の耐震性への配慮なども必要になる(写真:Adobe stock)

 日本のどこかで大きな地震があると、社内のリスク担当責任者は、自社の防災体制やBCPに不備がないか見直しすることになると思います。ただ、それは建物が耐震化されているか、あるいは防災備蓄が十分にあるかなど、あくまで社員が自社の建物の中にいることが前提となっています。

 しかし、実際の地震は社員の就業時間内に発生するとは限りません。むしろ時間の長さから言えば、休日や夜間に発生する確率が高いと言えます。

 自宅で被災した従業員が自分や家族の命を守れず、職場に復帰できなければ、企業の事業継続も困難となるでしょう。そこで、今回は社員の自宅防災を考えます。

1.安全配慮義務で求められていること

(1)労働者の安全への配慮

 安全配慮義務は、2008年3月に施行された労働契約法第5条によって次のように定められています。

労働契約法第5条 (労働者の安全への配慮)
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をするものとする。

「必要な配慮」とは、一律に定まるものではなく、企業側に特定の措置を求めるものではありませんが、従業員の職種や労務内容、そして労務提供場所等の具体的な状況に応じて、必要な配慮を求められています。

(2)自宅での安全確保は、企業にとって必須の取り組み

 大地震が在宅時に起こった場合、もし従業員が自分や自分の家族の生命、身体の安全を確保できなければ、「連絡がとれない」あるいは「ケガをしているので業務復帰が遅れる」など、企業の事業継続に大きな影響を及ぼします。

 そのため、従業員が在宅の場合も安全を確保できるように支援することは、企業の安全配慮義務の延長と言えるとともに、同時に事業継続の観点からも必須の取り組みとなります。