本誌リスク対策.comは7月24日、「危機対応におけるリーダーの役割」をテーマに都内でセミナーを開催した。

災害の危機を組織が乗り越えるために、リーダーの役割が非常に重要な事は過去の災害で証明されていると言える。

しかし、リーダーに求められる資質や役割が具体的にどういったものなのか、これまであまり議論されてこなかった。同時に、優れたリーダーを育成するノウハウも企業や自治体は学ぶ必要がある。

本セミナーでは、東日本大震災の際に岩手県災害対策本部を陣頭指揮した岩手県元危機管理監(現・岩手大学地域防災研究センター教授)の越野修三氏、英国海兵隊のリーダー論をビジネスに取り入れたコンサルティング会社マッキニーロジャーズ日本・アジア太平洋代表の岩本仁氏、京都大学防災研究所教授の林春男氏を講師に招き、危機発生時におけるリーダーの役割について各々の視点から解説した。

越野氏は、岩手県災害対策本部で実際に用いられた組織体制とその課題、トップリーダーの役割について解説。リーダーの役割に加え、それをサポートする幕僚(参謀)の重要性にも焦点を当て、幕僚(参謀)がリーダーに足りない知識を補うだけでなく、リーダーの適切な決心(意思決定)を補佐する本質的な役割があるとした。

岩本氏は、対テロリスト戦、多国籍軍中心の軍隊構成など幾つかの要素から、現代では軍隊のマネジメントシステムが、中央集権型(コマンド&コントロール)から、権限委譲型(ミッションコマンド)に移行していることを説明した上で、軍隊のリーダー論をビジネスに取り入れた「ミッションリーダーシップ」について解説した。社員(兵士)全員がリーダーシップを発揮することに重点をおいたマネジメントシステムであるため、災害時の有効性が高いのだという。

林氏は、2012年10月に米国ニュージャージー州に上陸し170人以上の死者を出したハリケーン・サンディにおける米国の対応を取り上げた。ハリケーン・カトリーナに続いて起こった巨大災害である事や、ニューヨーク同時多発テロの教訓が生かされているかといった複数の検討要素をもつことから、その米国の対応から導きだせる教訓と課題を紹介。災害対応プランを作成するだけでなく作成するまでの過程の大切さや、リーダーシップにはいくつかの要素・スタイルがあることに加え、求められる役割も多岐に及んでいる事などを説明した。

セミナーはインターネットでの同時中継も実施。動画は、水曜日(7月31日)まで登録者限定で視聴できる。申し込みはこちらから(31日まで)

写真を拡大左から越野氏、岩本氏、林氏

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