2019/02/19
防災オヤジーズくま隊長の「知らないとキケンな知識」

戸建の災害対策 火災編
高圧酸素カプセルの中で熊さんがはっと目覚めた。
「俺は助かったのか?」と考えていると周りのカプセルが掛布団に変わり寝汗をかいてびっしょりだ。「ううう、夢だったのか」と一人ごとを言って隣を見ると奥さんがいびきをかいて寝ていた。
普段はなんてわずらわしいいびきだと常々感じていたが、この時ばかりは愛しいいびきだった。
この夢を教訓に戸建て住宅の災害対策を再考してみましょう。
1.火災の早期覚知
人がいる場所(部屋)で何かが燻るだけで臭いや煙・音・炎は直ぐに覚知できます。人間は大変すばらしい火災感知能力があります。しかし火災が進行するところにはまず人がいません。または、熟睡・泥酔など完全に寝入っている場合も多いのです。火災は早期に覚知発見できれば簡単に消火可能ですし避難の時間も十分にあります。
消防法で住宅用火災警報器(住警器)の新築住宅への設置が2006年6月1日から既存住宅は2008年6月1日から義務化されています。ちょうど今年6月で10年目にあたり取り替え需要が発生します。
先のシミュレーションでもあるように火種が燻り火炎と煙が出るまでに状況によりますが、相当の時間がかかります。その間にCOが不完全燃焼により相当量発生します。この段階で火災の覚知ができればほとんど初期消火レベルで消火可能です。
一般的に販売されている住警器は熱感知器、煙感知器です。布団などの厚みのある可燃物でくすぶり続けて炎・煙が立ち込め警報器が感知するレベルであると一気に拡大延焼します。したがってこれ以前にCOが感知できればかなり早期に初動対応(初期消火・避難)が可能です。
http://www.city.kobe.lg.jp/information/press/2018/08/20180810910201.html(神戸市:煙と一酸化炭素の流動に関する火災実験)
煙・一酸化炭素流動実験(出典:YouTube)
ほかにもCOを検知して警報が出てから約16分後に煙を検知して警報が鳴ったという実験結果があります(広さ約8畳の室内にて布団燻蒸火災を再現したデータ、新コスモス電機による実験)。16分間のタイムロスは致命傷・逃げ遅れの原因になります。
住警器を新規に設置する、取り換えを検討中の方はCOセンサーの付いた住警器を設置しましょう。もちろん私の自宅には煙・CO住警器を設置してあります。
2.視界(あかり)の確保
ほとんどの皆さんは防災用品としてライトやランタンなどを準備されていることでしょう。
ただし突然の大地震や火災などで瞬時に停電になるとその保管場所まで移動することや電池を入れることなど不可能なほど暗闇になります(特に広域ブラックアウト)。
消防法で義務づけのある非常灯のような設備があれば急な停電でも内蔵のバッテリーで明かりを自動点灯しますが、戸建ではなかなか設備している家は無いでしょう。
充電タイプのハンディライトで通常はコンセントにさしっぱなしにしておいて停電時は自動点灯するタイプの製品があります。私の自宅(3階戸建)にも各階に1個は挿してあります。
充電池にはリチウムイオン電池を使用していますので信頼できる商品を選択しましょう。電池が発火して火事になったらしゃれになりませんので。
https://www.twinbird.jp/products/ls8558.html(自宅にはこの商品を装備してます)
防災オヤジーズくま隊長の「知らないとキケンな知識」の他の記事
- 第7回 相次ぐ建設現場における火災
- 第6回 なぜ戸建住宅火災で死亡するのか
- 第5回 火災による死亡原因のほとんどは「煙」にあった
- 第4回 知ってましたか?消火栓は誰でも使えます!
- 第3回 消火器で火災は消せません!
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/01
-
-
-
「ビジネスイネーブラー」へ進化するセキュリティ組織
昨年、累計出品数が40億を突破し、流通取引総額が1兆円を超えたフリマアプリ「メルカリ」。オンラインサービス上では日々膨大な数の取引が行われています。顧客の利便性や従業員の生産性を落とさず、安全と信頼を高めるセキュリティ戦略について、執行役員CISOの市原尚久氏に聞きました。
2025/06/29
-
-
-
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
-
サイバーセキュリティを経営層に響かせよ
デジタル依存が拡大しサイバーリスクが増大する昨今、セキュリティ対策は情報資産や顧客・従業員を守るだけでなく、DXを加速させていくうえでも必須の取り組みです。これからの時代に求められるセキュリティマネジメントのあり方とは、それを組織にどう実装させるのか。東海大学情報通信学部教授で学部長の三角育生氏に聞きました。
2025/06/17
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方