3.呼吸の確保
先のシミュレーションでもありましたが1階で火災が拡大延焼しても煙・有毒ガスから呼吸を守れればかなりの時間稼ぎが可能です。また自力脱出も可能です。消防隊が救助に来ても大量の有毒ガスを吸っていてなんとか助け出したのに病院で死亡が確認されたなどは連日のように報道されております。呼吸の確保がなされれば自力で動くこともできますしパニックにもなりにくいです。

そもそも自力脱出できれば消防隊が救助のためにわざわざ危険な建物内に侵入しなくてすむのです。呼吸保護具(防毒・防煙マスク)は戸建こそ必要な保護具です。最近は集合住宅の火災もよくあります。

下層階で出火しても防火区画(扉などをきちんと締める)が形成されていれば延焼は抑えられますが煙有毒ガスはどんどん侵入してきます。外傷(火傷)が何ら無くても死亡しているのです。呼吸の保護は大変重要です。最近ネットで販売されている防煙マスクや防災フードなどの商品で粗悪な製品が多く見受けられます。日本には消防庁が決めた規格基準がありますのでそれに合格した商品を選びましょう。「一般財団法人日本消防設備安全センター 評定合格品」がベストです。

また、単なるポリ袋を防煙フードなどと称している製品も見られますが論外です、これをホテルの客室に常備している恐ろしいホテルも見受けられます。安全配慮義務違反ですね。即、生死に直結する道具ですのできちんと選びましょう。呼吸保護具については別の機会に詳しく解説いたします。

http://smokeblock.rescueplus.jp/(当然ながら自宅3階寝室すぐ手が届くところに2個置いてます)

4.戸建の2~3階からの脱出
ビルや共同住宅の場合は水平避難(同じ階の他の防火区画へ避難)や2方向避難(別々の階段)が可能ですがほとんどの戸建は水平避難も2方向避難もできないのが現実です。先のシミュレーションでも階段をのぞいたら猛煙が侵入し窓からの脱出しか逃げる道が無い状態でした。しかし2階といえどもかなりの高さがあります。

若い時でしたらなんとかなるかなと思っていましたが、現実の火災で2階から飛び降りて重傷を負っているり災者が多くいます。まして3階からはとても無理です戸建の犠牲者の多くが2~3階で亡くなっております。

そこで第2の脱出ルートを確保できるのが避難ばしごです。煙が充満し始めても防毒・防煙マスクで呼吸が保たれれば落ち着いてはしごで脱出できます。

http://www.hinan-hashigo.com/(自宅3階寝室からの脱出に3階用備えています)

5.その他の保護具
戸建の火災の発生時間は大部分が就寝時です。従って裸足でパジャマ、とても無防備です。履物もスリッパ程度。万が一の場合、防煙マスクを着装して窓に避難梯子をかけて窓から脱出。直ぐに履ける靴とすべり止めのための手袋を用意しましょう。当自宅には避難ばしごと一緒に寝室のクローゼットに収納してあります。

最後に、防災用品、備蓄品などいろいろなものが市場に出回り何をどれくらい揃えればよいか多くの方が悩んでいます。会社での備蓄、学校での備え、病院での備え、それぞれ施設・用途・収容人員などの違いでさまざまなパターンがあると思います。しかし、共通している備えは生命の安全が最優先であるということ。ここを飛ばして、やれ備蓄食料だ、やれ簡易トイレだと言っている人の何と多くいることか。

そして自分たちだけが被害者になるだけではなく、救助に来た消防士まで犠牲になるなんておかしくありませんか。もう一度見直しをして疑問があれば信頼できる専門家に相談してみましょう。

もう一度言います。 消防士を殉職させるな!!

(了)