2019/03/13
防災・危機管理ニュース

NTTデータ経営研究所は8日、第5回「東日本大震災発生後の企業の事業継続に係る意識調査」の結果を発表した。小規模な企業ほどBCP(事業継続計画)の策定率が低いほか、BCPの発動は2018年の西日本豪雨(平成30年7月豪雨)で約2割、北海道胆振東部地震で3割しか発動していないものの、約6割は想定通り機能したと回答した。有効回答者数は1019人。
BCPの策定状況は「策定済み」43.5%、「策定中」21.4%。5000人以上の大企業ではそれぞれ70.0%、17.9%だが、99人以下では27.4%、16.8%にとどまる。「策定予定」も含めた821人に、想定しているリスクを聞いたところ、「地震(主として直下型地震)」74.3%、南海トラフ地震など「地震(東海・東南海・南海連動地震等の超広域地震)」が62.6%、「地震以外の自然災害(風水害等)」54.0%だった。火災、停電、システムダウンによる自社設備の停止はいずれも約4割が想定していると回答した。
BCPを「策定済み」「策定中」「策定予定」と回答し、西日本豪雨で被害の大きかった地域に拠点がある企業で実際にBCPを発動したのは21.7%、北海道胆振東部地震では28.5%にとどまっている。一方で発動した企業にBCPが想定通りに機能したか質問したところ、西日本豪雨では55.4%、北海道胆振東部地震では60.9%が「BCPは期待通り機能しており、特段問題無かった」と回答。2011年の東日本大震災では34.2%にとどまっており、いずれもその約1.7倍となった。
「BCPは概ね機能したが、問題となる部分があった」は西日本豪雨で41.9%、北海道胆振東部地震は37.7%。想定通り機能しなかった内容で多かったのは西日本豪雨では「災害・事故等発生時の体制設置」33.3%、「社員の安否確認方法」24.2%、北海道胆振東部地震では「対策本部立上げ判断基準の設定」「社員の安否確認方法」「優先して復旧すべき業務・事業の設定」がいずれも29.6%だった。
■ニュースリリースはこちら
http://www.keieiken.co.jp/aboutus/newsrelease/190308/index.html
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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