前回は、災害からの復旧に当たり、経済資本(経済的な価値を生み出す物理的な生産物)と組織資本(データベースやマニュアルなどに保存された知識や経験)が重要な役割を果たすというお話でした。経済資本は、ひとたび失われる、あるいはダメージを受けると、社会関係資本と深い関係を持ちながら回復(代替)に向かう、ということを大槌町の事例で分析しました。組織資本は一度失われると回復するのが難しいですが、回復可能な場合も、単独ではなく、社会関係資本と関係を持ちながら修復に向かう過程が事例から見て取れたと思います。このように、それぞれのキャピタルは、特定のキャピタルと相互依存の関係を持ちながら、その機能を発揮していきます。災害などでキャピタルの働きが失われると、特定のキャピタルの助けを借りながら復旧に向かうことになります。

キャピタルの種類と定義*

今回は、前回と同じく大槌町の事例を基に、人間資本とシンボル資本について考えていきたいと思います。

 

町長は人間資本でありシンボル資本でもある

大槌町では、町長を含む職員の約3分の1が被災しました。町長は、当然ながら人間資本に該当しますが、同時に、大槌町におけるシンボル資本の役割を担っていると言えます。シンボル資本とは、「所与の社会構造の中で認識される名誉または名声」と定義されています。企業においては、企業ブランド、商品ブランド、企業の代表である社長など、さまざま当てはまるかと思います。
大槌町で町長が被災したことは、後の復旧プロセスに大きな影響を与えることになりました。具体的には、町長の職務代理者(副町長が務めていました)の任期が2011年6月20日だったことから、町長選挙の実施に必要な業務が優先されることになりました。情報システムの観点から見ると、町長選挙の実施のために整備する必要があったのが選挙人名簿であり、選挙人名簿の作成を行うためには住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を復旧することが急務となったのです。住基ネットは、市区町村間の住民の異動(引っ越しに伴う住民票の異動)を把握するために必要となります。少し細かくなりますが、以下簡単に、住基ネットの復旧プロセスをご紹介します。

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