「ローリング」の極意は普段から食べる

同じ品物を「大量購入、一気買い」した場合、「賞味期間」が同じ日にやって来ます。そんな場合に特に重要な言葉がローリングストックなのです。もし賞味期間が一度に切れたら、一斉に飲み食いできますか? 結局、捨てるしかなくなります。「普段から食べる」ことこそが、期間切れで捨てないための極意・裏ワザです。賞味期間が一挙に切れる不都合をなくすための工夫なのです。

一方、一気買いではなく、「チョビチョビ買い」した人は、賞味期間の手前で順次食べるので、捨てる必要はなく、あらためてローリングストックなんて言わなくても十分同じ効果が得られていることになります。

■ローリングのポイント
・災害時に食べるものでも、日常食として食べれば、その食品に慣れ親しむことができる(災害食に慣れる効用あり)。
・万一、不具合やおいしくない場合は、次回の購入時は他のものに変更する(自分の好み度の合否をチェックする効用あり)。
・単品で食べるのではなく、組み合わせて食べる。相性をチェックして、もし悪いなら変更する(サバの缶詰→シーチキンの缶詰など)。
・保存期間中に飲食すると数が減り、ゼロに近づく。災害が起こったときにゼロでは困るので、数が減った分だけ買い足して、元の状態に戻しておく。
・備蓄した災害食を、やたら食べ過ぎるとお金がかかりすぎるので、ストックした後、災害が起こるまでの間に適宜、飲食し、不足した分を必ず補充する。

ローリングの注意点 特に食べ盛りのお子さんがいる場合

「おいしいもの、自分好みのものを災害食として備えましょう」と呼び掛けていますが、それはそれで困ります。ローリングのやりすぎで備蓄が常にゼロになるという例があります。昨年、大阪北部地震のとき、小学校高学年の児童に災害食の備蓄状況を調査しましたが、その際に興味深い回答を見つけました。自由記述の欄に「僕の家には備蓄がありません。学校から帰るといつも備蓄している災害食(カップ麺)を食べるので、何もなくなります。買い足してもすぐ食べてしまいます」と書いてありました。
「そうかっ!分かるよ、ウンウン」と私はうなずきました。災害食の置き場に鍵をかけるわけにもいかないので、特にお子さんのいる家庭では難しいことだと思います。でも、このご家庭では、すでに「災害食が日常食」になっているわけですから、そこを生かして「カップ麺・日常食用」と「カップ麺・災害食用」と区別して別の場所に置いておくことをお勧めします。そして災害食用のカップ麺は食べないルールを決めておくことも大事ですね。

ローリングストックは、順番としては言葉の逆で、ストックがあって次にローリングがあることが大切です。ストックがなければローリングはできません。2つの言葉は列車のように連結しています。