2019/04/23
本気で実践する災害食

「ローリング」の極意は普段から食べる
同じ品物を「大量購入、一気買い」した場合、「賞味期間」が同じ日にやって来ます。そんな場合に特に重要な言葉がローリングストックなのです。もし賞味期間が一度に切れたら、一斉に飲み食いできますか? 結局、捨てるしかなくなります。「普段から食べる」ことこそが、期間切れで捨てないための極意・裏ワザです。賞味期間が一挙に切れる不都合をなくすための工夫なのです。
一方、一気買いではなく、「チョビチョビ買い」した人は、賞味期間の手前で順次食べるので、捨てる必要はなく、あらためてローリングストックなんて言わなくても十分同じ効果が得られていることになります。
■ローリングのポイント
・災害時に食べるものでも、日常食として食べれば、その食品に慣れ親しむことができる(災害食に慣れる効用あり)。
・万一、不具合やおいしくない場合は、次回の購入時は他のものに変更する(自分の好み度の合否をチェックする効用あり)。
・単品で食べるのではなく、組み合わせて食べる。相性をチェックして、もし悪いなら変更する(サバの缶詰→シーチキンの缶詰など)。
・保存期間中に飲食すると数が減り、ゼロに近づく。災害が起こったときにゼロでは困るので、数が減った分だけ買い足して、元の状態に戻しておく。
・備蓄した災害食を、やたら食べ過ぎるとお金がかかりすぎるので、ストックした後、災害が起こるまでの間に適宜、飲食し、不足した分を必ず補充する。
ローリングの注意点 特に食べ盛りのお子さんがいる場合
「おいしいもの、自分好みのものを災害食として備えましょう」と呼び掛けていますが、それはそれで困ります。ローリングのやりすぎで備蓄が常にゼロになるという例があります。昨年、大阪北部地震のとき、小学校高学年の児童に災害食の備蓄状況を調査しましたが、その際に興味深い回答を見つけました。自由記述の欄に「僕の家には備蓄がありません。学校から帰るといつも備蓄している災害食(カップ麺)を食べるので、何もなくなります。買い足してもすぐ食べてしまいます」と書いてありました。
「そうかっ!分かるよ、ウンウン」と私はうなずきました。災害食の置き場に鍵をかけるわけにもいかないので、特にお子さんのいる家庭では難しいことだと思います。でも、このご家庭では、すでに「災害食が日常食」になっているわけですから、そこを生かして「カップ麺・日常食用」と「カップ麺・災害食用」と区別して別の場所に置いておくことをお勧めします。そして災害食用のカップ麺は食べないルールを決めておくことも大事ですね。
ローリングストックは、順番としては言葉の逆で、ストックがあって次にローリングがあることが大切です。ストックがなければローリングはできません。2つの言葉は列車のように連結しています。
おすすめ記事
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
-
「保険」の枠を超え災害対応の高度化をけん引
東京海上グループが掲げる「防災・減災ソリューション」を担う事業会社。災害対応のあらゆるフェーズと原因に一気通貫の付加価値を提供するとし、サプライチェーンリスクの可視化など、すでに複数のサービス提供を開始しています。事業スタートの背景、アプローチの特徴や強み、目指すゴールイメージを聞きました。
2025/06/11
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/10
-
その瞬間、あなたは動けますか? 全社を挙げた防災プロジェクトが始動
遠州鉄道株式会社総務部防災担当課長の吉澤弘典は、全社的なAI活用の模索が進む中で、社員の防災意識をより実践的かつ自分ごととして考えさせるための手段として訓練用のAIプロンプトを考案した。その効果は如何に!
2025/06/10
-
-
緊迫のカシミール軍事衝突の背景と核リスク
4月22日にインド北部のカシミール地方で起こったテロ事件を受け、インドは5月7日にパキスタン領内にあるテロリストの施設を攻撃したと発表した。パキスタン軍は報復として、インド軍の複数の軍事施設などを攻撃。双方の軍事行動は拡大した。なぜ、インドとパキスタンは軍事衝突を起こしたのか。核兵器を保有する両国の衝突で懸念されたのは核リスクの高まりだ。両国に詳しい防衛省防衛研究所の主任研究官である栗田真広氏に聞いた。
2025/06/09
-
危険国で事業展開を可能にするリスク管理
世界各国で石油、化学、発電などのプラント建設を手がける東洋エンジニアリング(千葉市美浜区、細井栄治取締役社長)。グローバルに事業を展開する同社では、従業員の安全を最優先に考え、厳格な安全管理体制を整えている。2021年、過去に従業員を失った経験から設置した海外安全対策室を発展的に解消し、危機管理室を設立。ハード、ソフト対策の両面から従業員を守るため、日夜、注力している。
2025/06/06
-
福祉施設の使命を果たすためのBCPを地域ぐるみで展開災害に強い人づくりが社会を変える
栃木県の社会福祉法人パステルは、利用者約430人の安全確保と福祉避難所としての使命、そして災害後も途切れない雇用責任を果たすため、現在BCP改革を本格的に推進している。グループホームや障害者支援施設、障害児通所支援事業所、さらには桑畑・レストラン・工房・農園などといった多機能型事業所を抱え、地域ぐるみで「働く・暮らす・つながる」を支えてきた同法人にとって、BCPは“災害に強い人づくり”を軸にした次の挑戦となっている。
2025/06/06
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方