統計によると、日本時間の2020年4月1日夜時点で世界の新型コロナウイルス感染者は累計88万人超で、死者は約4万4000人と報道され(時事通信社)、さらに増え続けている。
こうした感染症は歴史始まって以来初めてのことではない。過去にもさまざまな感染症を経験し、先人は幾多の悲しみを乗り越えてきた。その足跡が残されている文献では次のように語っている。

■風病流行:1716年(享保元年)
夏熱を患う病人多く1カ月間に死ぬ者、江武町にて8万人。
〜中略〜貧しいものの亡骸は菰(こも)に包み船に乗せて品川沖へ流し水葬にされた(内閣府衛生局編:流行性感冒. 28~29ページ. 2008. 平凡社)
■スペイン風邪:1918年(大正7年)
世界史上最大のパンデミックインフルエンザで鶏インフルエンザが変異したもの。日本で死者39万人。一例を挙げると、死体を原野に運び、山積みにして火葬にする(外岡立人著:新型インフルエンザの真実. 143ページ. 2012. 中央新書ラクレ)
■ペスト:1348〜1353年
1348年、イタリアのフィレンチェでは路地を1本通り過ぎる間にも腐臭を放つ遺体に出くわし、家の戸口や窓の下には家屋から放り出された者なのか、路上で息絶えた者なのか死骸が転がっていた(岡田晴恵著:怖くて眠れなくなる感染症. 79ページ. 2017. PHPエディターズ・グループ)
夥(おびただ)しい数の死体がどの寺にも日日、刻刻、競争のようにはこびこまれた〜中略〜墓地だけでは埋葬しきれなくなりまして、どこも墓場が満員になると、非常に大きな壕を掘って、その中に何百と新しく到着した死体を入れ、船の貨物のように幾段にも積み重ねて、一段ごとにわずかな土を上からかぶせ、しまいには壕もいっぱいに詰まってしまいました(野上素一訳. デカメロン. 岩波文庫)