第71回:各国のビジネス環境におけるリスクの総合的ランキング2019年版
2019 FM Global Resilience Index
合同会社 Office SRC/
代表
田代 邦幸
田代 邦幸
自動車メーカー、半導体製造装置メーカー勤務を経て、2005年より(株)インターリスク総研、(株)サイエンスクラフト、ミネルヴァベリタス(株)にて事業継続マネジメント(BCM)や災害対策などに関するコンサルティングに従事した後、独立して2020年に合同会社Office SRCを設立。引き続き同分野のコンサルティングに従事する傍ら、The Business Continuity Institute(BCI)日本支部事務局としての活動などを通して、BCMの普及啓発にも積極的に取り組んでいる。国際危機管理学会(TIEMS)日本支部理事。一般社団法人レジリエンス協会幹事(組織レジリエンス研究会座長)。環境経営学会幹事(企業の気候変動に対する「適応」研究委員会メンバー)。政府会計学会会員(社会リスク研究部会メンバー)。
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米国の損害保険会社FM Globalは同社のサイト上で「FM Global Resilience Index」というデータを公開している。これは同社のデータベースを含む様々な情報源から得られた情報を基に、約130カ国のビジネス環境に関するリスクを評価した結果をまとめたもので、2018年版が公開された際に本連載でも紹介させていただいたが(注1)、本稿では 2019年5月に公開された2019年版を紹介する。
この「FM Global Resilience Index」では、各国ごとに「経済面」、「リスクの内容」、「サプライチェーン」という3つのカテゴリーに分けられた12の要素に関する評価結果を用いて、スコアが算出されている。本稿のトップに掲載した図は評価結果のサマリーであり、総合的な評価が最も高い順に1位がノルウェー、2位がデンマーク、3位がスイスとなっている。ノルウェーがトップになった要因としては、「経済的な生産性の高さ」「政治の安定性」「汚職の防止」や「コーポレート・ガバナンス」などが挙げられている。また経済の石油に対する依存度が減少していることも寄与しているようである。
なお「コーポレート・ガバナンス」は、前回までの評価に含まれていた「現地のサプライヤーの品質」という要素を置き換える形で今年から新たに加わった評価要素で、これには監査や会計基準、利益相反に関する規制、株主によるガバナンスが含まれているとの事である。ちなみに「コーポレート・ガバナンス」のトップ3は上からシンガポール(総合評価21位)、ニュージーランド(同12位)、カナダ(同13位)の順で、日本の「コーポレート・ガバナンス」は42位である(注2)。