2019/06/21
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
使う制度によっては生活の見通しが立たなくなることも
ゲームルールがわかったら、実際に今回のお題を一緒に考えていきます。皆さんが支援しなければいけない方はこの方です。
被災者の属性と被災の程度が書かれています。
実は、このお題のケースは実際にあった事例なのです。河北新報に掲載された事例を読まれた永野先生が、制度を知らないことによって、これだけ困ってしまった人がいたことに心を痛めて、このゲームを作らなければと思ったそうです。
■<被災住宅修繕未完了>底突く退職金、年金暮らし…自宅損壊のまま生活「追い詰められる」悲痛(河北新報 2019年4月20日付)
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201904/20190420_13026.html
以下、引用です。
築45年の木造2階。激しい揺れで2階の複数の柱に深い割れ目が入り、1階の天井のはりはずれたままだ。市の修繕状況調査には「一部修繕済み」と答えた。
震災で2階のコンクリート敷きのベランダがずれ落ち、屋根が引っ張られてゆがみ、1階のサッシは開閉できなくなった。
屋根の張り替え、玄関の修理など補修代金は約800万円に上った。25年勤めた会社の退職金や火災保険の見舞金を充てたものの、直し切れなかった。
市の目視による損壊判定は「半壊」。異議を申し立てたが、2度目の判定でも覆らず「津波の被害でもっとひどい人がいる」と言われた。公的な支援は応急修理制度(52万円)と義援金(54万円)だけだった。
生活再建支援制度では半壊住宅を解体して建て替えた場合、最大300万円が支給される。菅沢さんは知らなかった。「仕事が忙しく、誰に相談すればいいか分からなかった。知っていれば自宅を解体して新築していた」と嘆く。
1人暮らし。震災後、過労や人間関係の悩みでうつ病を発症した。退職金は自宅修繕で使い果たし、年金で暮らしをつなぐ。菅沢さんは悲痛な思いで訴える。
「時間がたつほど追い詰められる。どうすればいいか分からず困っている人は他にもいるのではないか」
(石巻総局・氏家清志)
図にしたものがこちらになります。
この方が実際に使った支援制度は、応急修理制度です。ここで58万4000円ではないのは、東日本大震災時の金額だからです。
義援金については、カードではこのように説明されています。
この方は54万円もらえたそうです。義援金は、被害が局地的だと1人あたりの金額は大きくなりますが、東日本大震災のように広範囲で甚大な被害があると、1人あたりの金額は少なくなる傾向があります。「南海トラフ地震が起こった際も、甚大な被害が想定されていますから、生活再建には程遠い金額になることが想像されます」と永野先生のお話です。
支援制度で得たお金と25年働いて貯めた800万円もすべて使って900万かけて家を修理したものの、修理しきれなかったこの方は、年金で暮らしをつないでいるとあります。災害後は、建築資材が高騰します。せっかく貯めたお金があっても修理しきれないということが、このように実際には起こっています。そればかりか心労が重なりうつ病も発症してしまったとあります。
ここで、記事に、このように書かれていましたね。
<生活再建支援制度では半壊住宅を解体して建て替えた場合、最大300万円が支給される。菅沢さんは知らなかった。>
もっと暮らしを支える支援制度があったのです。でも、誰に相談していいかわからなかったために、追い詰められてしまったとあります。これは、過去の問題ではなくて、今回の山形県沖地震でも、支援制度を知っている人に繋がることができなければ同じ問題が繰り返されます。そのようなことがあってはいけないですよね。
ゲームでは実際にどのような支援が可能だったか話し合いました。単に支援カードを見ながら考えるだけではなく、被災者の人生に寄り添って支援制度を考えるとはどういうことなのか、参加したみなさんと意見交換もしました。
こちらは参加された方の感想です。
支援制度は有機的な関連がわからなければ使いこなせなかったりします。それらがじっくり学べるこのゲームの真髄について、次回引き続き報告します!
(了)
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