2016/06/13
【6月第1特集】 熊本地震の検証 6人の専門家に聞く“教訓をどう生かす?”
熊本地震の対応における課題や苦労した点
【取引先】
■ 取引先の被害状況の把握に時間がかかった。
■ 取引先や得意先の被災時の支援体制のあり方に課題。
■ 取引先からの情報がまったくこなかった。
■ サプライヤー被災による部材調達への影響に課題。
■ 取引先が被災した場合の代替の効かない仕入れ製品について在庫備蓄など検討が必要。
■ 取引先への支援レベルを決めておく必要あり。
■ サプライチェーンの被災状況、稼動状況の把握に時間がかかった。
■ 協力工場が被災した際に短期間に復旧させる手立てが必要。
■ 関係会社や取引先のBCP整備が課題。
■ 全国に存在する委託外注先の所在地、当地区リスク、当該会社のBCP策定の有無を把握する必要がある。
【安否確認】
■ 震度5強以上の地震が続き安否確認メールがあまりに多く困った。
■ 群発地震の場合、安否確認のタイミングをどうするかが検討課題。
■ 余震が多発した場合の安否確認のタイミングやルールに課題。
■ 出張者の安否確認などに課題。
【従業員対策・備蓄など】
■ 避難所にいる従業員の把握に手間どった。
■ 従業員家族や避難者らへの避難スペースの提供体制を決めておく必要がある。
■ 被災従業員に対する支援物資の迅速な提供(要請物資と数量・配送先の把握、配送手段の確保)が必要。
■ 被災従業員の健康とメンタルのケアが必要。
■ 被災した社員の住居確保に課題。
■ 現地支援に派遣された社員の宿泊場所の確保に課題。
■ 被災地出身者が遠方へ単身赴任した場合、家族のもとへの帰宅許可の判断基準、帰宅期間などの規程がなかった。
■ 備蓄食料、飲料水、簡易トイレの在庫が不足。
■ 被災した従業員への救援物資が不足。備蓄の重要性を認識した。
■ 出張社員がどこにいるのかをすぐに把握することができなかった。組織として、行き先を把握できる仕組みがあった方がよい。
■ 社員やその家族の出身地まで把握できていないので、被害を受けている状況があっても本社に伝わらない。
■ 社員の実家がすぐにわかる資料がなく、誰が支援対象かわからなかったため、実家の市町村名を災害対策本部でデータ集積することになった。
■ 従業員および家族安否(二親等)の確認に時間がかかった。
■ 従業員家族の支援対象範囲が不明確で一部支援に齟齬(そご)が生じた。
■ 全員在社時の緊急避難後の人員確認に活用する出勤簿の様式が必要。
■ 九州地区への出張の可否判断に課題。
■ 事業継続以前に生命の安全を守るBCPが必須。
【意識】
■ BCP担当者が対処にあたるといった風潮があるが、復旧段階に入れば各部門が中心にならなければならないが、温度差がありすぎる。
■ 社内の部門ごとの考え方の違いが大きく、部門自体がボトルネックになる可能性もある。
■ 地方で起きる大きな災害に対する危機意識が不足していた。
■ 九州では大きな震災がなかったこともあり、防災面の意識が低かった。
■ 九州では 風水害対策に重点をおいていたため地震対策には抜けがあった。
■ すべて想定不足(勉強不足・リスク評価の不足)だった。
■ 従業員家族への防災・耐震への意識向上が不足している。
■ 全社員へのBCPの周知が必要。
■ 職員のBCPに対する認知度が低く、一部の者しか理解していない。
■ 余震があったとしても、本震より弱く、収束に向かうであろうという思い込みがあった。
■ 管理本部・本社機関の意識の低さに課題。
■ 役員の判断が遅い。
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