■B病院の災害時の食事マニュアル
次に、この病院の災害時の食事のマニュアルを紹介します。

災害時に飲まず食わずのまま生き続ける人は一人もいません。従って、病院の中でも以下のように、Ⅰ~Ⅳの全てのグループに食事の用意をしなければなりません。特に病院では病状により食べ物の「適性」が違うので、その特殊性を重んじた食事の提供が求められます。

通院者への配慮

B病院に比べて、A病院に欠けているのは災害時に病院内に滞留する通院者への配慮です。各診療科の廊下で診察を待つ人は、昼間ですと相当数いるはずです。運悪く、バス、電車などの交通手段が途絶えれば、帰宅困難者になる可能性があります。場合によっては病院で一夜を過ごすことになるかもしれません。食べ物はもちろんですが、寒い時期なら毛布、暑い時期なら熱中症対策、さらにはトイレの準備など、具体策が必要です。各階に置かれた自動販売機は災害時に役立つ貴重な備蓄庫と考えられますが、果たして有効な飲み物が配備されているのでしょうか? そうした細かな点まで平時から配慮しておくことが危機管理です。自販機の内容やデザインが危機管理用に設定されている例を参考のために挙げておきました(写真)。

 

Q&A

Q. 両病院とも備蓄食料と飲料水は3日間ですが、4日目からはどうなるのでしょうか?
A. よい質問です。確かに3日間では復旧しませんね。内閣府は今、「1週間分」と言っています。しかし、これでも足りません。1カ月間ぐらい不自由です。ライフラインが停止しているとなおさらです。広域災害では救援が難しい場合もあるので、できるだけ多く備蓄をするように心掛けましょう。

 

(了)