2016/07/07
ニュープロダクツ

株式会社電通国際情報サービス(本社:東京都港区)は、AlpVision SA(本社;スイス・ヴヴェイ)と業務提携を行い、不可視デジタル真贋(がん)判定ソリューション「Cryptoglyph(クリプトグリフ)」の提供を23日から開始した。
医薬品の外装(箱やラベル)に肉眼では見えない微細な凹凸を施し、偽造薬の可能性が疑われた場合にはスマートフォンで容易に判定できるもの。世界の大手製薬企業で採用され、年間100億パッケージ以上の製品を偽造から保護している。日本国内での取り扱いは初となる。

企業や製品単位で電子透かしのパターンファイルを生成し、これを識別するスマートフォンアプリとともに顧客企業に提供する。パターンファイルは、一般的なデザイン制作用ソフトウエアを用いて外装の版下に組み込むことができるので、従来の印刷工程を変更する必要がなく追加コストが抑制できる。
スマートフォンをかざすだけで簡単に正規品の識別ができるので、トレーニングの必要がなく、特殊な機器や技能が不要なため、偽造薬の可能性が疑われた際にも迅速に判定し対策を講じることができる。海外拠点を含めた多拠点展開も容易だ。
価格は、デモキットが70万円~(Cryptoglyphパターンファイル、スマートフォンアプリ 各1セット)、初期導入費用は900万円~、(初期セットアップ作業、Cryptoglyphパターンファイル、スマートフォンアプリ、品質管理ソフトウエア 各1セット)、年間利用料は別途(適用箱数に応じて算出)。
偽造医薬品の脅威は世界的に増大していて、日本でもネット販売の解禁などによる流通経路の多様化から、その流通量が増加している。偽造医薬品は患者の安全を大きく脅かすだけでなく、正規品との区別が困難な場合には製薬企業が製品の回収を余儀なくされるケースもあり、医薬品業界全体の大きな課題となっている。
こうした中、日本は2014年7月に国際間で査察の整合性を図る医薬品査察共同スキームPIC/S※に加盟し、当該スキームの下で、医薬品の適正な流通基準の整備が進められつつある。
日本の製薬企業では、従来から特殊なインクやホログラムを外装に施したり、流通経路をモニタリングするといった様々な偽造薬対策が行われているが、万全といえる施策はなく、今後、流通全般にわたりさらなる対応強化が求められることになる。
医薬品流通に関わる法規制が既に整備されている欧米諸国では、より厳格な偽造薬対策が義務付けられていて、グローバル展開する製薬企業にとって喫緊の課題となっている。
■AlpVision SAについて■
不可視デジタル真贋(がん)判定ソリューションにおける世界のリーディングカンパニーとして、医薬品向け偽造防止の為の電子透かし/電子指紋技術を開発・販売している。本分野に特化したソリューションを世界中に提供し、現在、製薬・タバコ・中央銀行などを顧客に、年間100億パッケージ以上の製品を偽造から保護している。 本社スイス・ヴヴェイ、設立2001年。
※ PIC/S:医薬品査察協定及び医薬品査察共同スキーム。欧州を中心とした世界各国の薬事行政当局が集まり、医薬品の製造、品質、流通等に関わる基準に関する国際的調和を図るとともに、相互査察が進むよう活動している団体。日本は2014年7月に加盟が認められた。
(了)
ニュープロダクツの他の記事
おすすめ記事
-
「自分の安全は自分で」企業に寄り添いサポート
海外赴任者・出張者のインシデントに一企業が単独で対応するのは簡単ではありません。昨今、世界中のネットワークを使って一連の対応を援助するアシスタンスサービスのニーズが急上昇しています。ヨーロッパ・アシスタンス・ジャパンの森紀俊社長に、最近のニーズ変化と今後の展開を聞きました。
2025/08/16
-
-
白山のBCPが企業成長を導く
2024年1月1日に発生した能登半島地震で震度7を観測した石川県志賀町にある株式会社白山の石川工場は、深刻な被害を受けながらも、3カ月で完全復旧を実現した。迅速な対応を支えたのは、人を中心に据える「ヒト・セントリック経営」と、現場に委ねられた判断力、そして、地元建設会社との信頼関係の積み重ねだった。同社は現在、埼玉に新たな工場を建設するなどBCPと経営効率化のさらなる一体化に取り組みはじめている。
2025/08/11
-
三協立山が挑む 競争力を固守するためのBCP
2024年元日に発生した能登半島地震で被災した三協立山株式会社。同社は富山県内に多数の生産拠点を集中させる一方、販売網は全国に広がっており、製品の供給遅れは取引先との信頼関係に影響しかねない構造にあった。震災の経験を通じて、同社では、復旧のスピードと、技術者の必要性を認識。現在、被災時の目標復旧時間の目安を1カ月と設定するとともに、取引先が被災しても、即座に必要な技術者を派遣できる体制づくりを進めている。
2025/08/11
-
アイシン軽金属が能登半島地震で得た教訓と、グループ全体への実装プロセス
2024年1月1日に発生した能登半島地震で、震度5強の揺れに見舞われた自動車用アルミ部品メーカー・アイシン軽金属(富山県射水市)。同社は、大手自動車部品メーカーである「アイシングループ」の一員として、これまでグループ全体で培ってきた震災経験と教訓を災害対策に生かし、防災・事業継続の両面で体制強化を進めてきた。能登半島地震の被災を経て、現在、同社はどのような新たな取り組みを展開しているのか――。
2025/08/11
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/05
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/08/05
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方