2016/09/09
ニュープロダクツ
理化学研究所(理研)計算科学研究機構データ同化研究チームの三好建正チームリーダーと、情報通信研究機構・大阪大学らの国際共同研究グループは8月9日、スーパーコンピュータ「京」(※1)と最新鋭フェーズドアレイ気象レーダー(※2)を生かした「ゲリラ豪雨予測手法」を開発したと発表した。
高速かつ膨大なデータを組み合わせることで、解像度100mで30秒ごとに新しい観測データを取り込んで更新する、空間的・時間的に桁違いの天気予報シミュレーションを実現し、30分後までのゲリラ豪雨を予測する手法。
現在の天気予報は、スーパーコンピュータを使ったシミュレーションに基づいていて、1kmより粗い解像度で1時間ごとに新しい観測データを取り込んで更新。気象庁で運用されている局地モデルは、全国を対象に解像度2kmで1時間ごとに新しい観測データを取り込んでいるが、ゲリラ豪雨の場合、わずか数分の間に積乱雲が急激に発生・発達するため、現在の天気予報では予測が困難。1kmより粗い解像度では、ゲリラ豪雨を引き起こす積乱雲を十分に解像できない。
次世代の高精細シミュレーションと高性能センサーを組み合わせる革新的な技術により、従来とは桁違いのビッグデータを生かす「ビッグデータ同化」を実現したことで、高速かつ高精細な天気予報が可能となり、天気予報に革命をもたらすことが期待できる。
課題は、本来30秒以内に完了しなければならない「ビッグデータ同化」の計算に約10分かかっていること。今後、実用化に向けて、30秒ごとに得られる観測データを30秒以内に処理するためのデータ転送や計算の高速化が求められる。これによって、さらに高精度かつリアルタイムなゲリラ豪雨予測を実現する。
(※1) スーパーコンピュータ「京」
文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築」プログラムの中核システムとして、理研と富士通が共同で開発を行い、2012年9月に共用を開始した計算速度10ペタFLOPS級のスーパーコンピュータ。
(※2) フェーズドアレイ気象レーダー
ゲリラ豪雨や竜巻などを観測するため、最短10秒間隔で隙間のない三次元降水分布を100mの分解能で観測することが可能な最新鋭の気象レーダー。将来的には突発的気象災害の監視や短時間予測に役立つことが期待されている。
(了)
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