信州大学・山崎公俊助教、アーノード・ソービ研究員、東北大学・田所諭教授らのグループは7日、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)タフ・ロボティクス・チャレンジ(プログラム・マネージャー:田所諭教授)の一環として、被災地で捜索活動などに用いる遠隔操作ロボットで撮影した画像から、周囲に存在するものの種別や探索対象の発見を支援するための画像認識システムの開発に成功したと発表した。

ヘビ型ロボット、サイバー救助犬、ヒューマノイドロボットなど、災害環境で作業を行う様々なタイプのロボットへ搭載ができるもの。

不定形物が乱雑に存在する環境で撮影された映像から、どこに何の物体が写っているか、 表面状態はどうかを自動で識別する。要救助者などが存在しそうな領域の絞り込みに有効だ。

事前学習のために必要とするデータ量が少なく、初めての現場でもすぐに効果を発揮。 操作者との対話を通して識別能力を向上・拡張していくことができる。

熊本地震や阪神淡路大震災に代表される大規模地震災害では、倒壊した建物内に取り残された人の発見と救助が大きな課題となった。同グループは、ImPACTタフ・ロボティクス・チャレンジの共同研究開発の一つのテーマとして、被災地での捜索活動を支援するための画像認識手法を研究していて、その一環として、災害現場ですぐに利用できる捜索活動補助のための画像認識システムの開発を進めてきた。被災木造家屋を模擬した評価試験フィールドや、森林環境、熊本地震での倒壊家屋で撮影した画像データなどに対して検証を行い、一定の性能が確認された。

ImPACTタフ・ロボティクス・チャレンジで研究開発を進めるレスキューロボットは、1995年の阪神淡路大震災を契機に田所教授らのグループが提唱し、世界を牽引してきた研究分野。田所教授は、災害ロボットの研究が世界的に高く評価され、IEEE Fellow(米国電子技術協会IEEEの最高位メンバー資格)に昇格している。

山崎助教のグループは、布などの不定形物の認識・操作に関する研究で成果を上げていて、平成28年度文部科学大臣若手科学者賞などを受賞している。今回の開発は、そこで培った技術を活用・発展させたものだという。

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