2019/10/03
防災・危機管理ニュース

KPMGコンサルティングとデル テクノロジーズの日本での事業展開を行っているEMGジャパン RSAは3日、「サイバーセキュリティサーベイ2019」と題した企業のサイバーセキュリティに関する調査結果を発表した。製造業やインフラといった制御システムについては、所管部門の不在や対策方針の未策定など対策の遅れが目立った。
国内上場企業および売上高400億円以上の未上場企業のサイバーセキュリティ責任者から、313件の有効回答があった。サイバー攻撃による不正侵入の痕跡については21.1%の企業が発見したと回答した。不正侵入に気づいたきっかけは、社員による通報やサイバーセキュリティ部門による監視など、88.5%は内部での発見としている。
サイバーセキュリティ対策状況に関する監査では「実施していない」39.3%、「不定期で実施している」23.6%で、定期的な実施企業は少数だった。サイバーセキュリティ対策が進んでいない原因は「知見のある実務担当者が足りない」63.9%、「従業員の意識が低い」と「人的リソースが不足している」が共に61.2%で、人材に関する回答が目立った。今年度の投資額の規模については「やや不足」46.5%、「大いに不足」13.2%と、不足の回答が多い。サイバーインシデントの発生を経験した企業は41.9%。CSIRTについては「設置済み」は25.2%だった。
制御システムを含む事業に取り組んでいる企業は全体の31.9%。このうち、制御システムセキュリティに関する管理部門と予算部門は「制御システム部門が該当する」が37.0%だったが、「該当する部門はない」が「情報システム部門と制御システム部門の両方が該当する」と同じ18.0%だった。制御システムセキュリティに関する所管部門は「制御システム部門が該当する」が32.0%で最多だが、「該当する部門はない」が次いで26.0%。
制御システムセキュリティ対策方針は「対策方針を単体でまとめた規程がある」13.0%、「単体で取りまとめた規程はないが、他の社内規定に対策方針を含めて記載している」が27.0%で、合わせて40.0%にとどまる。制御システムセキュリティ対策の実施状況については、パッチ適用やスキャンなど「脆弱性管理」が「十分できている」9.0%、「ある程度できている」26.0%、リアルタイムアラートなど「統合ログ管理」は同じく4.0%、22.0%など低い。
制御システムは外部ネットワークとこれまでは分離されていることが多く、安全対策が進まなかったが、同調査結果ではパソコンなど制御システム内の脆弱性要因を指摘。また、3日に東京都千代田区で行われた記者説明会でKPMGの大西武史ディレクターは「データ活用などの観点から、スマートファクトリー化が進行している」と述べた。IoTも含め外部ネットワークとの接点が増加傾向にあり、よりサイバー対策が求められている。
■ニュースリリースはこちら
https://www.rsa.com/ja-jp/company/news/20191003
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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