株式会社日立システムズ(本社:東京都品川区)は、自治体向けに地震や津波などの災害発生時、災害対策本部の設置や住民の避難誘導など職員の初動を支援する「初動支援キット」を10月から販売開始したと発表した。

所属部署や役割に応じて、職員それぞれが次に行動すべき内容をスマートデバイス上で確認できる。各職員の行動内容や行動時間を記録・可視化することで、災害対策本部で初動全体の進捗状況を把握し、的確な判断や指示を支援する。

地図情報システムや防災マップと連携し、避難所の情報や避難すべき方向をスマートフォンを通じて住民向けに発信するほか、避難所の受け入れ状況などもタイムリーに把握する手助けとなる。

これらのアプリケーションを災害時にも安定的に利用できるようにするため、可搬型ラックに収納された災害対策本部向けのサーバーやPC、スマートデバイス、無線LANルーターなどのITインフラ、非常用発電設備や蓄電池等の電源設備などもセットで提供。庁舎が被災した場合でも、代替拠点において初動をサポートできる。サーバーはクラウドサービスとしても利用が可能だ。

写真を拡大 *2BPM(Business Process Management)ツール:全体的な業務プロセスの流れを把握・分析し、管理・改善を行うツールのこと。

日立システムズは、東日本を中心とした150以上の自治体に実施したヒアリング結果を基に、災害発生時の行動手順を体系化。その手順の実行を支援するアプリケーション群とITインフラ・付帯設備をセットで提供する。

実証実験(防災訓練)を千葉県旭市の協力の下で行い、有効性を確認できたことを踏まえ、今回、自治体向けに販売を開始した。

旭市は、「災害対応マニュアルを参照しなくても、タブレット端末上で次に行うべき行動がすぐに分かる」「関連する部署、職員の動きや進捗状況を画面上で簡単に把握できる」「従来はいつ、誰が、何をしたかといった履歴情報が不足する傾向にあったが、行動履歴が自動記録されるため、対応内容を県などの上位組織に報告する際に基礎情報を報告できる」「今後さまざまなパターンを想定した訓練が実施できる」などと評価した。

地震や津波だけでなく、風水害、火山災害、雪害等に対応したモデルを追加開発し、一般企業向けにも対応範囲を拡大する予定だ。

価格は、個別見積もり。ニーズにあわせ、クラウドおよびオンプレミス環境で稼働するサービスを提供する。

(了)