2016/11/17
ニュープロダクツ
建築物・電力設備のコンサルティング、企画、設計などを行う株式会社NTTファシリティーズ(本社:東京都港区)は、地震発生直後に建物の安全性を迅速に判定するシステム「揺れモニ®」に、最初の地震と同程度の地震が発生した際の安全度を予測する「連続地震安全度予測機能」を追加し、9日から販売を開始した。熊本地震のような同程度の連続地震の発生を想定した建物の継続使用可否の予測が可能となる。
同社が2013年からサービスを提供する「揺れモニ®」は、加速度センサーを建物の全階に設置し、建物の特性に応じて5つの指標 「変形」「固有周期」「傾斜」「揺れの強さ」「揺れ方」から適切な指標を選択判定するため精度の高い。独自の5つの指標で判定することで、低層建物から超高層建物まであらゆる規模・構造種別の建物に導入ができる。独自開発することで、他社製品よりも導入コストを約2~3割低減した。
また監視センタ(FOC:ファシリティーズオペレーションセンタ)がシステム稼働状況を24時間体制で遠隔監視し、システム異常が発生しても速やかに修理、正常稼働を維持。外壁・天井などの非構造部材の被害予測機能や、風雨モニタリング機能、複数拠点の一括監視機能、緊急地震速報との連携表示機能など、様々なオプション機能を顧客の要望により導入ができる。
今回追加した機能は、連続する地震活動時に、建物が倒壊することなく継続使用が可能か、建物管理者自らが迅速に判断できるもの。同程度の地震が連続して発生した場合の安全度を予測し、システム画面に表示する。建物管理者は、建物利用者の適切な避難誘導や避難所としての利用可否の判断、生産設備の計画的な稼働停止などを行うことができ、被害の拡大を未然に防ぐことが可能となる。
4月に発生した熊本地震は震度7の大きな揺れが2度発生し、1度目の揺れでは倒壊を免れても2度目の揺れには耐えきれず倒壊してしまった建物があり、被害が拡大した。政府の地震調査委員会は熊本地震を受け、「大地震後の地震活動の見通しに関する情報のあり方」報告書を8月に発表し、気象庁は今後の発表において、地震発生直後の注意喚起を「1週間程度、最初の大きな地震よりひとまわり小さい余震に注意」から「最初の大地震と同程度の地震への注意」に変更する方針を示した。
このような状況を踏まえ、前回と同程度の地震が連続して発生した際の安全度を予測する「連続地震安全度予測機能」を新たに追加し、提供を開始することとなった。
現在はオフィスビル中心に導入が進む同システムを、災害時の継続稼働が求められる自治体施設や病院、避難所としての機能が求められる学校施設や体育施設などへも併せて導入を進め、年間150棟の導入を目指す。
また、それら施設に太陽光発電設備や蓄電池も合わせて提案することで避難所施設のファシリティーを充実させ、非常時でも照明や空調などの使用を可能にし、利用者の不安やストレス軽減に貢献していく。
(了)
ニュープロダクツの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
3線モデルで浸透するリスクマネジメントコンプライアンス・ハンドブックで従業員意識も高まる【徹底解説】パーソルグループのERM
「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンとして掲げ、総合人材サービス事業を展開するパーソルグループでは、2020年のグループ経営体制の刷新を契機にリスクマネジメント活動を強化している。ISO31000やCOSO-ERMを参考にしながら、独自にリスクマネジメントの体制を整備。現場の業務執行部門(第1線)、ITや人事など管理部門(第2線)、内部監査部門(第3線)でリスクマネジメントを推進する3線モデルを確立した。実際にリスクマネジメント活動で使っているテンプレートとともに、同社の活動を紹介する。
2024/07/23
-
インシデントの第一報を迅速共有システム化で迷い払拭
変圧器やリアクタなどの電子部品や電子化学材料を製造・販売するタムラ製作所は、インシデントの報告システム「アラームエスカレーション」を整備し、素早い情報の伝達、収集、共有に努めている。2006年、当時社長だった田村直樹氏がリードして動き出した取り組み。CSRの一環でスタートした。
2024/07/23
-
「お困りごと」の傾聴からはじまるサプライヤーBCM支援
ブレーキシステムの開発、製造を手掛けるアドヴィックスは、サプライヤーを訪ね、丁寧に話しを聞くことからはじまる「BCM寄り添い活動」を2022年度から展開している。支援するのは小規模で経営体力が限られるサプライヤー。「本当に意味のある取り組みは何か」を考えながら進めている。
2024/07/22
-
-
危機管理担当者が知っておくべきハラスメントの動向業務上の指導とパワハラの違いを知る
5月17日に厚生労働省から発表された「職場のハラスメントに関する実態調査報告書」によると、従業員がパワハラやセクハラを受けていると認識した後の勤務先の対応として、パワハラでは約53%、セクハラでは約43%が「特に何もしなかった」と回答。相談された企業の対応に疑問を投げかける結果となった。企業の危機管理担当者も知っておくべきハラスメントのポイントについて、旬報法律事務所の新村響子弁護士に聞いた。
2024/07/18
-
基本解説 Q&A 線状降水帯とは何か?集中豪雨の3分の2を占める日本特有の現象
6月21日、気象庁が今年初の線状降水帯の発生を発表した。短時間で大量の激しい雨を降らせる線状降水帯は、土砂災害発生を経て、被害を甚大化させる。気象庁では今シーズンから、半日前の発生予測のエリアを細分化し、対応を促す。線状降水帯研究の第一人者である気象庁気象研究所の加藤輝之氏に、研究の最前線を聞いた。
2024/07/17
-
-
災害リスクへの対策が後回しになっている円滑なコミュニケーション対策を
目を向けるべきOTリスクは情報セキュリティーのほかにもさまざま。故障や不具合といった往年のリスクへの対策も万全ではない。特に、災害時の素早い復旧に向けた備えなどは後回しになっているという。ガートナージャパン・リサーチ&アドバイザリ部門の山本琢磨氏に、OTの課題を聞いた。
2024/07/16
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方