2019/11/15
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
対策6 物語では家族の規模に合わせて引越し
「赤毛のアン」には続編があり、アンには子どもが6人もいて、子どもが増えるにつれ人数にあわせた家に引越ししていたことはご存知でしょうか? 本の中では島全体が故郷という感覚で、家族が多ければ、たくさん部屋がある学校に近い場所に、歳をとれば、懐かしい生まれた場所にと常に引越ししていました。
今でもPEIではステキな場所のステキな家が「For Sale」となっている所も多いです。中古の家だからと言ってそれだけで価値が下がるわけではなく、持続可能性のある家にリフォームすれば、高く転売することも可能です。日本のように新築の価値が高いがゆえに危険な場所に新興住宅地が建てられ、災害が少なめである場所で空き家が放置されるという問題も起こりにくいです。引越しが重荷でなければ避難しやすいし、危険な場所の家は淘汰されやすいので、新築重視ではない住宅構造の転換についても考えさせられます。
対策7 子どもや高齢者、障がい者に優しい
【クラブツーリズム】プリンスエドワード島州政府観光局提供・赤毛のアンと美しいプリンスエドワード島(出典:YouTube)
親子2人きりでPEIを訪れた際、飛行機の中で息子が激しくぐずりはじめました。飛行機で子どもにぐずられると、逃げ場がないのでつらいですよね。「すいませんすいません」って気分で、席を立とうとしたとき、隣のスーツを着た男性が、「うちもよく飛行機で泣いたよ」と子どもをあやしてくれました。親ではない人にあやされるとかえって泣き止むこともあるので、ほんとに助かりました。
また、入国審査の列に並んでいると、人々が次々と前に行きなさいと譲ってくれました。スーパーマーケットの列でも同じでした。赤ちゃん連れには誰もが親切です。レジのアルバイトのような学生さんが、「赤ちゃんの目がぱっちりしてかわいいね」とか、「赤ちゃんの服の色が素敵だね。どこに売っている?」とかマニュアルではない声かけがとても多く、子連れが受け入れられている感がありました。
子どもたちが大切にされるからか、PEIの子どもたちは、高齢者や車椅子の人が、ドアの前にいたら、率先してドアを開けたりしてエスコートする場面をよく見かけました。子ども向けアニメのヒーローが、闘うことはほとんどなくて、人を助けたり(レスキュー隊の人とか)人に親切にするとヒーローだという映像を流すことが多い事も関係あるのかもしれません。
虐待や暴力が連鎖すると言われますが、その逆の、親切や寛容もまた連鎖するのではないかと思います。親切や寛容に多く触れると、どうすれば、そうなれるかのモデルケースにたくさん出会えるので、実践しやすいのです。
内閣府の避難所運営ガイドラインでは、すべての人に優しい避難所運営について書かれています。子どもには遊び場を確保することも書かれています。でも、実際は子どもたちはうるさいと言われたり、乳幼児連れは避難所から出てしまうことが多いです。介護が必要な方は、避難所で困難が起こります。みんなが困難に陥る災害時だけ、突然助け合えるわけがありません。日常からの取り組みが災害時に出てくるのだと思います。
以上、7つの対策…とはいえ、厳密な政策の紹介というわけではなく、私の旅行記&主観オンパレードを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
全部をPEIのようにしようという話ではありませんし、どの街にもいいところもあれば課題がまだまだの部分はあります。そして日本の自然も美しく、食べ物もおいしく、温かい人たちがたくさんいますし、日本の方が、時間にきちんとしています。PEIでは地震もないし、災害も少ないので参考になる部分は少ないかもしれません。でも、普段からの生活を、みんなが暮らしやすく、心地よく豊かにすることが、結果として災害対策につながっている、この部分を特にみなさんと共有できたらなと思い、紹介しました。日本でも、もっと工夫できることありますよね!
(了)
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