スタンドでは重傷者の搬送など救護訓練が行われた

東京都は19日、江東区の有明体操競技場などで2020年東京オリンピック開催中の首都直下地震を想定した対応実地訓練を開催。会場周辺では大会組織委員会や警視庁、東京消防庁、自衛隊など約500人、新宿区の都庁で約150人の計約650人が参加した。都オリンピック・パラリンピック準備局による大会中の地震を想定した会場での訓練は初めて。

今回の訓練は2020年7月26日の午前9時15分に、東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3、最大震度7の地震が発生する想定が行われた。この日は都内24競技会場のうち20会場で競技開催もしくは準備中の予定。約1万2000人収容の有明体操競技場は午前9時30分から体操を開催。近隣の約1万5000人収容の有明アリーナでは9時からバレーボール、同規模の東京アクアティクスセンターでは10時30分から決勝も含めた競泳が行われるなど、有明エリアに多数の観客が集まることから、2020年7月26日午前9時15分を想定して行われた。

有明体操競技場では地震発生後、観客に身を守ることや、会場が地震に対して安全であることを日本語と英語でアナウンス。東京消防庁の他、自衛隊や警視庁も連携し救助活動を実施。応急救護やトリアージを行い、受け入れ先の病院との連絡作業などが行われた。さらに「ラストマイル」と呼ばれる会場周辺にいる観客の避難を実施した。一時避難場所であるりんかい線国際展示場駅前の有明シンボルプロムナード公園に誘導後、猛暑が予想されることから水の配布を行った。周辺の商業施設での受け入れを調整し、うまくいかない場合として、有明体操競技場への移動を想定しているという。

視覚障がい者や車いす利用者も含めた、会場周辺にいた観客の一時避難所への誘導の様子

同時に都庁には小池百合子知事も参加する災害対策本部が置かれ、初動の訓練を行った。大会期間中は運営における連絡調整や競技場周辺のインシデント対応のため、都の司令塔として「都市オペレーションセンター(COC)」が置かれ、万が一の際は災害対策本部と連携する。都オリンピック・パラリンピック準備局によると、会場内は耐震性があり安全で、パニックを起こさずに会場内に観客をとどめることも大事になるという。外国人対応などの課題があり、参加者へのアンケートの他、今後も図上訓練を行うなど対応の改善に努めていく方針。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介