千曲川の決壊により被災した長野市穂保地区

風水害は、地震災害と違って事前に何が起こるかが把握でき、災害発生までに事前準備ができるリードタイムがあると考えられてきた。しかし、昨年、日本を襲った台風15号や19号は、予測を超えた大きな被害を各地にもたらした。これからの防災をどう見直せばいいのか。関西大学社会安全学部・社会安全研究センター長で人と防災未来センター長の河田惠昭氏に聞いた。

歴史を学び、災害文化を築け

科学技術の発展により、災害を正しく予測できるようになってきたと考えがちだが、それは間違えで、実は、災害の特徴すら正確に把握することができていないことにわれわれは気付かなくてはいけない。

例えば2018年に関西地方を襲った台風21号、2019年に関東、東北を襲った台風15号や19号についても、実はことごとくその予測に失敗をしている。

台風19号については、名古屋大学宇宙地球環境研究所の坪木和久教授の研究によると、台風の北東側に「大気の河」と呼ばれる水蒸気の多い領域が広がっていて、熱帯から多量の水蒸気を運び込んで、これが東北に多くの雨を降らせたという。そのことが事前に把握することができなかった。気象庁では、台風の中心気圧などの強度を衛星で観測される台風の雲パターンから推測しているが、この方法では、中程度の台風強度は比較的精度よく推定できても、強い台風になると誤差が大きく限界があり、精度を良くするには航空機による直接観測が不可欠であるという。台風に限らず高潮についても、降雨量についても、どこまで正確な数値になっているかは疑わしいものがある。つまり、近年風水害については、地震と違って事前に何が起こるかが把握でき、災害発生までにリードタイムがあると考えられてきたわけだが、実際には地震も風水害も、発生で何が起こるか分からないと考えるべきだ。

 
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