今年もプーチン大統領の外交からは目が離せない(出典:flicker)

近年における世界情勢は、政治、経済、社会、全ての面で流動化しています。2017年に顕在化するであろう10のリスクを、以下の通り予測しました。前回に引き続き、一つずつ解説を行います。

【2017年グローバルリスク予測】

1.    グローバリゼーションの更なる進展と世界的な社会的不安の拡大
2.    欧州諸国における右傾化傾向の高まり
3.    国際機関の更なる機能低下
4.    中国情勢の不安定化
5.    朝鮮半島情勢の緊張化
6.    中東情勢の不透明化
(シリア・イラク・トルコ・サウジアラビア・イラン等)
7.    米国の国際的なプレゼンスの低下
8.    ロシアの孤立化
9.    Homegrown Terrorist/Lone Wolf Terroristによるテロの増大
10.    自然災害の増加・新たな感染症の発生

 

【予測されるリスク】
・ ロシア外交の非欧米諸国への傾倒 ⇒ BRICs諸国との関係強化
・ 2国間問題の進展(領土問題等の進展の可能性)等

【背景等】
2014年初頭のウクライナ問題、クリミア半島問題により、ロシアは欧米諸国との関係が悪化し、経済制裁を科せられる事態となっています。一方、ロシアもこれに呼応するように対抗措置を講じ、更にミサイル防衛分野等での対立も表面化し、ロシア・欧米関係は冷戦後、最低水準となっていると言われています。このことは、国際安全保障分野(シリア等)でも足かせとなっています。

一方、ロシアはBRICs諸国との関係改善を図っており、特に中国とは首脳の頻繁な相互訪問(両国の戦勝記念式典への参加)等を通じ、緊密な関係をアピールしています。2015年には、初めて年2回の共同軍事演習を実施し、更に最新兵器の対中武器輸出契約を締結する等、関係の強化を図っています。また、ユーラシア経済同盟を創設し、外交上最優先地域である独立国家共同体(CIS)諸国の経済統合を推進する姿勢を示しています。

 これら、ロシアのBRICs、CIS諸国等との関係強化の動きは、一方で欧米諸国との関係改善が遅れることにもつながります。2017年においては、トランプ米大統領の就任により、劇的に関係が改善されるとの憶測もありますが、欧州における対立は周辺国の外交にも影響を与える可能性が高いと言えます。

(了)