2017/02/24
防災・危機管理ニュース

デロイト トーマツ 企業リスク研究所は24日、2017年2月分の海外リスクを紹介した。同研究所主席研究員の茂木寿氏は、「7カ国の入国制限に続いて、来週新しい大統領令が発表される。一時的に日本人の入国審査が厳しくなり、日系企業が現地で混乱する可能性もある」とする。
茂木氏は大統領令による企業への影響を軽減するためのポイントを挙げた。主なものは以下の通り。
②米国への入国審査がこれまで以上に厳しくなる恐れがあるため、入国審査官による審査の厳格化について、実際に渡航した従業員が得た情報を組織内に共有する仕組みはできているか。
③米国のさまざまなリスク情報に対し、米国内の拠点のほか他国に所在するグループ企業に情報を共有する仕組みはできているか。
④事務所や工場において、暴徒化したデモ参加者による襲撃や放火への備えはできているか。金品、商品、危険物は厳重に保管できているか。
⑤暴動やテロなどの情報を日本本社に報告するための方法を構築しているか。トランシーバーや無線などの携帯電話以外の通信手段を確保し、使用可能な状態としているか。
⑥施設や機械が損壊した場合のBCP(事業継続計画)を構築しているか。
⑦海外拠点における危機事案を想定した訓練を実施しているか。日本と米国の拠点の危機対応における役割・責任を定義しているか。

「米国で何か問題が発生した場合、現地できちんとメディアに広報対応することも重要。以前、外国のメディアに対し「日本の本社に聞いてくれ」という対応をとって非常にイメージが悪くなったケースがある。現地のことは現地で対応する体制を作る必要がある」(同氏)
茂木氏はそのほかにも、「日本における残業時間の上限を月平均60時間以内に規制」「中国北京市において大気汚染の赤色警報が発令」を2月のリスクに挙げた。
(了)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/05/05
-
企業理念やビジョンと一致させ、意欲を高める人を成長させる教育「70:20:10の法則」
新入社員研修をはじめ、企業内で実施されている教育や研修は全社員向けや担当者向けなど多岐にわたる。企業内の人材育成の支援や階層別研修などを行う三菱UFJリサーチ&コンサルティングの有馬祥子氏が指摘するのは企業理念やビジョンと一致させる重要性だ。マネジメント能力の獲得や具体的なスキル習得、新たな社会ニーズ変化への適応がメインの社内教育で、その必要性はなかなかイメージできない。なぜ、教育や研修において企業理念やビジョンが重要なのか、有馬氏に聞いた。
2025/05/02
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方