2020/02/25
防災とピクトグラム
なぜ緑なの?
第2回のピクトグラムの色「安全色彩」のところで、色でも情報を伝えていると説明しましたが、他にも理由があります。
非常口の色は、緑色に白色の2色です。一般的に目立つ色は、赤、オレンジ、黄などの色ですが、疑問に思ったことはありませんか? 非常口の色の使われ方には、ちゃんとした理由があります。火災時に炎の色である赤色に対して、最も視認性の高い色が緑色なのです。
ちなみに白色は、停電などが発生した場合に照明の役割を果たします。これは消防法施行規則に基づいた消防庁告示「誘導灯及び誘導標識の基準」(以下「消防法施行規則」という)で規定されています。
1987年、非常口のピクトグラムが、ISO 6309として国際基準になった経緯がありますが、ピクトグラムの人間が左向きに逃げています。
その後、ISO 7010として新たにピクトグラムの人間が右向きに逃げているものも採用されています。そうすると消防法施行規則でも、通路誘導灯(誘導標識も含む)は避難方向を直感的に理解できるよう、右向きも認められるようになりました。
ISO 7010に採用される前は、非常口を出て右側に逃げるにもかかわらず、右矢印の指示図記号を入れたり、入れなくてもピクトグラムの人間は左向きでした。しかし採用された後は、非常口を出て逃げる方向とピクトグラムの人間の向きを合わせて表示できるようになりました。
ちなみに左右に矢印の指示図記号がある場合は、ピクトグラムの人間の向きは左向きになります。
障害とピクトグラムの相性
ピクトグラムは、背景と図に明度差のある2色を用いて、表したい概念を単純な図として表現する技法が用いられています。
もしかしたら、色の弁別に困難を生じる「色覚異常」を持つ方には、ピクトグラムから伝えたい情報との相違があるかもしれません。例えば、緑色を茶色に間違えることがあります。色覚異常は、障害者手帳の交付対象ではありませんが、一部の色が区別しづらいだけで日常生活にはほとんど影響がないといわれています。
昔、色覚異常の仲間から「色の判別が難しい場合、信号機は、右から赤・黄・青と覚える」などと話を聞き、「車の免許を取得した」とのことです。障害の程度も軽度から重度、重複まで幅広くありますので判断は難しいですが、各障害におけるピクトグラムの認識性の関係を調べてみたら面白いと思います。
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