2020/03/06
日本企業が失敗する新チャイナ・リスク
■中国事業におけるBCP事業継続計画
中小企業庁のウェブサイトでは、BCPを以下のように説明しています。
「企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです」
つまり突発的な事故や災害が起きても、それをできるだけ想定しておき、いち早く通常の業務に戻れるよう常日頃準備しておきましょうということです。
BCP策定は日本でもまだ定着しておらず、これから準備する企業も多いと思われますが、こと外国で事業を行う場合には、国家体制、習慣、宗教、文化などの違いから、より周到に策定案を練っておく必要があります。
中国では、さらにBCPに対する認識が乏しく、これに対する論文も、法的な整備も整っていません。やっとネット上での議論が始まっている段階で、今後少しずつ定着していくものと思われます。
「リスク対策.com」の2015年のニュースにも、MS&ADインシュアランスグループの株式会社インターリスク総研と、株式会社時事通信社が、中国に進出している日系企業5000社を対象に、事業継続マネジメント(BCM)についての実態調査を共同で実施したことが報道されています。これを見ても、2015年度において56%の企業はBCPの策定をしてない状況が分かります。
参考:日本企業の中国現地法人等における事業継続マネジメント(BCM)実態調査を実施(リスク対策.com)
その後5年ほどの年月が経ちますが、果たしてどれだけの企業が中国事業におけるBCP対策に積極に取り組んでいるでしょうか? 現場の様子を見る限り、あまり進んでいないと思われます。
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