上海市では日本など感染拡大国からの渡航者に14日間の経過観察を求める(写真:写真AC)

■上海は感染の「逆流」防止の段階へ

前回に続き、新型コロナウイルス騒動による影響について考えてみたいと思います。

上海では人民政府外事弁公室より「3月3日以降、新型コロナウイルス感染症が広がっている国・地域(日本を含む)から上海に渡航される方については、14日間の自宅又は指定施設での隔離とする」旨の通報が発布されました。詳細はこれからですが、今後は中国国外への拡散防止ではなく、中国外からの侵入を重点的に防止するという新たな次元の対策が取られ始めたことになります。

感染の拡大抑制から「逆流」防止へ新たな対策(写真:写真AC)

武漢以外の地域では感染の拡大は収まっており、今後は新たな感染の可能性を徹底して封じ込めることになったといえましょう。北京も同様の措置をとっており、上海在住の日本人駐在員の北京への出張にも影響が出始めたことが報告されています。

また旅行業や交通業など、人の往来を条件とする企業群においては、規模の大小にかかわらず相当な経済的打撃を受けているのは事実であり、支援の有無によっては残念ながら事業の継続を諦めざるを得ないところも存在しています。そうなれば当然のごとく、それらの企業で働く社員たちへの影響も小さくありません。路頭に迷ってしまう人たちも出てくることでしょう。

単なる未知のウイルス騒動では済まされない状況に至っている中で、今こそ注目すべきことはBCP(事業継続計画)の策定とその見直しだと思われます。