2017/04/11
災害から命を守れ ~市民・従業員のためのファーストレスポンダー教育~
■火災防護安全について
最後に、必ず守らなければならない火災防護の安全について説明する。CFRまたはCERTメンバーとして火災に立ち向かうときは以下のルールに従うこと!
•バディで行動 必ず2人一組で消火活動にあたること。あなたの安全を確実にするためには一人で消火活動をしてはならない。
•可能な限りバックアップチームを置く マンパワーに余裕があれば、バックアップチームを置き、消火活動をサポートしてもらうこと。
•常に2カ所以上の退路を確保 火災はあなたの想像以上に早く広がるため、常に主たる退路が使えない状況を想定し第二の退路を確保すること。
•ドアを見よ ドアの下から空気を吸い込み、ドアの上から煙が出ているときはドアに触れてはならない。
•手の甲でドアを 閉まっているドアをいきなり開けてはならない。ドアノブに直接触れる前に必ず手の甲でドアの温度を感じよう。もしドアが熱ければ、反対側に火災があるということだ。絶対に入ってはならない!
•火災の閉じ込め 可能なら必ずドアを閉めて火災の延焼を少しでも先延ばしにしよう。
•床面近くに 煙は上に上がるので、姿勢を低く保ち新鮮な空気を確保しよう。
•安全距離を 消火器に表示してある放射距離を元に、できる限りの安全距離を保とう。
•火に背を向けない いったん消えたと思って、火に背を向けた瞬間に再発火する可能性もあるので、火元を見ながら後ずさるように後退しよう。
•残火処理の徹底 消火後は必ず、隠れた火元がないかどうかオーバーホール作業で確認しよう。
•消火器の能力以上の火災に立ち向かうな 繰り返しになるが、消火器はあくまでも小火災の初期消火が目的であり、大きな火災用にはデザインされていない。
•煙が充満している部屋には入るな 適切なSCBA(自給式空気呼吸器)が配備されていない限り完全に立ち入り禁止である。
•危険物の表示はストップサイン 市民レベルの救助隊は危険物の表示はストップサイン 市民レベルの救助隊は危険物に対する装備も教育も不十分であるため、危険物が関連している火災には関わるべきでない。現場に何か危険物質を現す表示などを発見した場合には、即時退避しなければならない。
■まとめ
火災防護について前編では、「火の動態と特性」、後編では、主に「状況評価と消火器の取扱い」について解説した。
話は少し飛ぶが、筆者は現在経産省が推し進めている「福島イノベーションコースト構想」の中で、学生、一般市民、企業等の自助・共助をはじめ、消防団、常備消防、警察、自衛隊等の公助までが活用出来る大規模総合訓練センターの実現可能性調査を行っている。その中であらゆるレイヤーの方々を対象としてニーズ調査を実施しているが、特に一般市民レベルや企業レベルにおいて顕著なニーズを示しているのが、「実際の火を使用して消火器の訓練をしたい」というものであった。(他にも色々なニーズは存在するが、今回は消火器の章なのであえて紹介した。)座学で得た知識を実際に現場で使うとなると、中々上手くいかない事が往々にしてある。やはり知識を技に昇華させるためには実際に体験して、実地訓練を重ねるのが一番である。
次号は第5章災害救護について紹介する。
参考文献:
•COMMUNITY EMERGENCY RESPONSE TEAM. Basic Training Instructor Guide
.FEMA.DHS
•消防業務エッセンシャルズ第6改訂版日本語版
(了)
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