(イメージ:写真AC)

はじめに

英国は、オンラインで生活や仕事をするのに最も安全な場所であることを目指しています。これは、国主導による他の国家のインフラへの攻撃や、サイバー犯罪者によるランサムウェア攻撃をはじめとするオンライン上の脅威に対し、簡単に達成できることではありません。一方で、英国のデジタル経済は1490億ポンドの経済的価値があり、経済の約7.7%を占め、毎年成長し続けています。それを守ることは、英国の国家安全保障上の最優先事項となっています。

この連載では、英国がサイバー脅威に対するレジリエンス(うまく適応できる能力)をどのように構築しているかを検証します。今後のコラムでは、英国が強みとする特定のセクターに加え、英国のさまざまな分野が、どのようにサイバーセキュリティーを推進しているかを見ていきます。さらに、全ての人のサイバーセキュリティーにとって国際協力が欠かせないという共通の認識に基づき、相互の安全を保つために、私たちが日本とともに行っているさまざまな取り組みについて探ります。

初回のこのコラムでは、英国政府が、直面する脅威をどのように特定しているか、また英国が経済を守り、敵対的な活動を抑止し、未来の人材と技術を育成するために採用している基本的なアプローチについて紹介していきましょう。

英国のサイバーセキュリティー戦略:進化を超えた革命

現在、英国はサイバー攻撃を国家安全保障に対する第一級の脅威として分類しています。これは核戦争やテロと同じレベルの脅威です。このことは、重要インフラに対するサイバー攻撃がどれほど深刻であるかを、ある程度裏付けています。変化のスピードがはやく、どの国もまだこれらの脅威から守るために完全に準備ができていないということの証でもあります。

さらに、普段通りのやり方では、問題は解決されないということも明らかでした。そこで私たちは方法を根本的に変えるために行動を起こすことにしました。