2017/06/05
防災・危機管理ニュース

総務省は5月26日、「土砂災害対策に関する行政評価・監視<結果に基づく勧告>」を発表した。総務省が国や都道府県、市町村の土砂災害に関するソフト対策の実施状況を調査。内閣府、総務省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省に対して適正な方策を行っていない地方自治体が是正措置をとれるよう、助言を始めとした行動を起こすことを勧告した。
総務省は土砂災害対策に関する行政評価として1.警戒区域等の早期指定の推進2.警戒避難体制の整備3.要配慮者利用施設における安全確保対策の的確な実施―の3点について17都道府県60市町を調査した。
警戒区域等の早期指定の推進については、開発規制を行う特別警戒区域の指定予定地で2年以上未指定となっているのが9都道府県で1万3852カ所あることが判明。当該都道府県が指定を行うよう、国交省に取り組み状況を把握し都道府県に助言を行うことを勧告した。
警戒避難体制の整備では市町村が作成すべきハザードマップが7市町で未作成、1市町で作成が中断していることがわかった。また避難訓練については2013~15年度の3年間で4市町が未実施だった。総務省は国交省に対し市町村にハザードマップを作成するよう要請すること、総務省消防庁と国交省に対し市町村に避難訓練の積極的な実施を要請することを勧告した。
同じく警戒避難体制については9市町が土砂災害警戒情報を避難準備・高齢者等避難開始の発表の判断材料に土砂災害警戒情報を設定していた。国のガイドラインでは避難準備・高齢者等避難開始は大雨警報(土砂災害)の段階で出さねばならない。内閣府防災担当と総務省消防庁、国交省に対し、市町村が国のガイドラインに従うように周知するように勧告した。
高齢者施設や学校といった要配慮者利用施設における安全確保対策の的確な実施については、都道府県と市町村の砂防部局や民生部局といった関係部局が施設の新設申請者に対し、土砂災害に関する情報提供を行い、安全確保を加味した計画検討を要請しなければならない。しかし2011年4月から2014年11月までに土砂災害の恐れのある箇所に新設された98施設中41施設が、必要な情報共有や計画検討の要請を受けずに設置された。
また都道府県と市町村の関係部局は、土砂災害の恐れがある箇所に立地することが明らかになった施設に関し、市町村の防災部局など担当の部局と情報共有を行わないといけないが、3市町9施設で把握がされてなかった。総務省は厚労省に対し、関係自治体が新設申請者への情報提供や計画検討の要請について適切に行われるよう周知するよう勧告。また文科省、厚労省、国交省には自治体の関係部局で情報共有が行われるよう助言するよう勧告した。
施設管理者は避難計画の策定と訓練の実施が必要だが、抽出して調べた78施設中55施設で実施していなかった。また国交省のガイドラインにより、自治体は施設管理者に土砂災害に関する説明会の開催を行う必要があるが、7都道府県・39市町が未実施、総務省は厚労省と国交省に、都道府県と市町村に施設の避難計画策定や訓練を促進する取り組みをするよう勧告した。
■ニュースリリースはこちら
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/107317_00001.html
(了)
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