2017/06/19
防災・危機管理ニュース

総務省は被災地へほかの地方自治体から応援職員を派遣する仕組みの構築を行う。16日、「大規模災害からの被災住民の生活再建を支援するための応援職員の派遣の在り方に関する研究会」がとりまとめた報告書が高市早苗・総務大臣に提出された。報告書には被災市区町村を支援する自治体を決める「対口支援方式」(カウンターパート)や災害対応が豊富な自治体職員を総務省に登録する「災害マネジメント総括支援員」制度の導入が提言として盛り込まれた。
カウンターパートは災害が起こった際、被災市区町村を支援する都道府県もしくは政令指定都市を、全国知事会や全国市長会、全国町村会で構成し、総務省も参画する現地調整会議で選定。支援元の都道府県の区域内市区町村も一体となり職員を派遣し、被災自治体の支援にあたる。この際に災害マネジメント総括支援員も派遣する。支援元で人手が足りない場合は、同じく全国知事会などで構成し総務省も参画する「応援職員確保調整本部」がほかの自治体からの応援職員派遣を調整する。
災害マネジメント総括支援員は災害対策の陣頭指揮の経験があり、派遣職員として被災自治体の災害マネジメントに関与したことのある課長級以上の職員が条件。災害マネジメントは災害対応のノウハウを持ち、災対推進体制の整備といった管理、総務省との連絡・調整といった、被災自治体の首長を助ける業務。支援員には総務省と消防庁で研修や訓練を実施。都道府県や政令指定都市の推薦を受け、総務省に登録される。カウンターパートで応援に駆けつけるほか、大規模災害といった緊急時には総務省の判断で派遣されるケースもあるという。
今回の提言を受け、総務省はカウンターパートと災害マネジメント総括支援員の両制度の構築を進めていく。
■ニュースリリースはこちら
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei11_02000080.html
■関連記事「被災地への自治体職員派遣で枠組み作り」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/2524
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
-
「ビジネスイネーブラー」へ進化するセキュリティ組織
昨年、累計出品数が40億を突破し、流通取引総額が1兆円を超えたフリマアプリ「メルカリ」。オンラインサービス上では日々膨大な数の取引が行われています。顧客の利便性や従業員の生産性を落とさず、安全と信頼を高めるセキュリティ戦略について、執行役員CISOの市原尚久氏に聞きました。
2025/06/29
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/06/24
-
-
-
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
-
サイバーセキュリティを経営層に響かせよ
デジタル依存が拡大しサイバーリスクが増大する昨今、セキュリティ対策は情報資産や顧客・従業員を守るだけでなく、DXを加速させていくうえでも必須の取り組みです。これからの時代に求められるセキュリティマネジメントのあり方とは、それを組織にどう実装させるのか。東海大学情報通信学部教授で学部長の三角育生氏に聞きました。
2025/06/17
-
-
入居ビルの耐震性から考える初動対策退避場所への移動を踏まえたマニュアル作成
押入れ産業は、「大地震時の初動マニュアル」を完成させた。リスクの把握からスタートし、現実的かつ実践的な災害対策を模索。ビルの耐震性を踏まえて2つの避難パターンを盛り込んだ。防災備蓄品を整備し、各種訓練を実施。社内説明会を繰り返し開催し、防災意識の向上に取り組むなど着実な進展をみせている。
2025/06/13
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方