■心の動揺を静めるための工夫

感情の“コントロール”といっても難しいことではなく、「控えめにする」「和らげる」くらいの意味で捉えてください。これにはレジリエンスならではの特別な方法があるわけではありません。日常の習慣から、あるいは家族や友人、知人、先輩のアドバイスから汲み取り、それを実践するだけです。ここで述べることも、ほんのささいなことではありますが、いくつか提案しましょう。

ちょっとしたことが気持ちの切り替えに(写真:写真AC)

例えば「深呼吸」。「一杯の水を飲む」でもいい。ドラマのシーンなどでおなじみですが、洗面所へ行って顔を洗う、鏡で自分の顔を見る(悲惨な顔つきになっていないか?)。あるいはちょっと外へ出て、いつもとは景色の違うコースや街へ足を向けてみる・・・。これだけでも落ち着きは取り戻せます。

これらには、一つの共通点があります。

深呼吸やストレッチでも気持ちが落ち着く(写真:写真AC)

それは「気持ちをよそに向けてみる」「気持ちをリセットする」という単純なことです。

ちなみに筆者はよく山登りに出かけるのですが、たまに道に迷ってドキッとすることがあります。そんな時、近くの倒木にでも腰掛けて、ボトルの水を一杯飲み、大きく深呼吸する。こうすることによって今の自分の置かれた状況を客観的に見つめられるようになり、次にどうすべきかが見えてきます。

もっとも、このようなことは誰でも無意識のうちにやっていることです。その「無意識」を「意識的」に実行するだけです。

話はコロナに戻りますが、外出自粛要請にともない、イライラ感や閉塞感のはけ口としてSNSなどにさまざまな愚痴や不満を書き込んでいる人々を見かけます。こんなときこそ、一呼吸置いて気持ちを落ち着け、もっと外へ目を向けてコロナ後の未来を見据えた意見を発信してほしいものです。