2017/08/03
防災・危機管理ニュース

東京消防庁は2日、「第23期火災予防審議会地震対策部会」の第1回部会を開催。地震時の火災情報の伝達について話し合われた。SNS活用など住民への情報伝達改善、東京都や区市町村以外への災害情報の提供や情報の収集、提供対象に合わせた災害情報の加工などについて審議する。
首都直下地震が起こった場合、焼失建物は20万棟、火災による死者は4000人を超えるとされている。東京消防庁には119番通報の入電やヘリコプター、ビルの高所カメラなど様々な形で情報が入る。そこから各消防署に指令を出し、各消防署がリエゾンを派遣し、避難指示権限のある区市町村に情報が伝わった後、行政無線などにより住民に伝わる仕組みとなっている。住民に伝わるまで様々な機関が入り速報性に問題があるほか、情報が失われる可能性もある。
東京消防庁と都、区市町村との情報交換では、消防隊員や消防団員が災害現場を撮影し携帯電話から送信、データセンターで管理する「早期災害情報システム」や延焼シミュレ―ションの活用が検討されている。しかし現行案では地点と隊の活動状況の提供、部隊運用に主眼が置かれ、災害の進展予測はわかりにくいという。さらに都や区市町村以外に各防災機関や医療機関、避難場所の管理者やマスコミへの情報提供も課題としてある。
東京消防庁では、都や区市町村以外への情報提供や、提供対象が使いやすいよう災害情報の加工、伝達手段について検討を進める。住民向けには東京消防庁からSNSによる発信も強化する。災害情報の収集や集約も改善を進めていく。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年9月26日配信アーカイブ】
【9月26日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:2023年7-9月四半期振り返り
2023/09/26
-
-
GX支援のアイ・グリッド 防災・BCPへの訴求を強化
企業向けグリーン電力供給のアイ・グリッド・ソリューションズは、気象災害の激甚化からレジリエンス対策のニーズが高まるとみて、防災・BCP面の訴求を強める考えです。このほど、エネルギーリスクと独立電源に対する意識を調べるため、全国の経営者にアンケート調査を実施。事業継続に加えて地域貢献への意向が強いことがわかりました。
2023/09/21
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年9月19日配信アーカイブ】
【9月19日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:未知のリスクに備える
2023/09/19
-
「回復」から「成長」へ 復旧フェーズを格上げ
フッ素樹脂メーカーのニッキフロンは2019 年の台風19号で本社工場機能の大半を喪失。被害と財源を見極め早期に復旧方針を決めると、主要製造ラインの迅速再開と代替生産で出荷の維持に努めました。一時は大幅に売上を落としたものの、取引先などの応援もあって、1年半後には被災前と同レベルに回復、その後は新たな成長フェーズに入っています。
2023/09/18
-
花王のリスクマネジメント改革
1890年に高級化粧石けん「花王石鹸」を発売してから130年以上にもわたり、家庭で愛用される、洗剤を中心としたさまざまな製品を世に送り出してきた花王株式会社。1999年にリスクマネジメント体制を整備した同社は、2016年にリスクマネジメントの改革に乗り出した。現在は、ERM(全社的リスクマネジメント)を展開し、将来直面するだろう未知のリスクにも対応できる体制を整えている。
2023/09/18
-
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方