2020/06/22
講演録
第二波への備え
「短期的」な目線で、第二波にどのように備えるべきか。シナリオの選択肢はある程度絞られる。最もあり得るパターンと言われるのは、緩和と引き締めを繰り返し、学習しながら徐々に緩和していく流れ。刻一刻と状況が変化する中で、一度、丁寧なリスクアセスメントを行い、その後は経営や関係者が集まってリスクアセスメントの簡単な見直しや再調整を小刻みに行うことが望ましい。
企業のマクロ環境として、経済はこれからやはり短期的には下降するだろ。社会全体の免疫力、レジリエンシーが上がる一方で、フルキャパシティでのビジネスも難しい。ビジネスニーズも変化している。さらに、株主総会などの法規制も今後変わっていく可能性があるし自然災害や温暖化の影響も予断を許さない。
そうしたマクロ環境の中で、企業が想定できるリスクとしては財務リスクがある。キャッシュフローが悪くなることは間違いなく、サプライチェーンにおいては中小企業を守るために買掛金の支払いスピードを早めるなどの動きもあり、財務的に非常に厳しくなるだろう。中小企業も今後のリスクマネジメントやBCPの見直しをしていくにあたり、今まで取引先に載せられなかったコストを載せてくるようになる。そうすると、サプライチェーン全体で調達コストが上がる可能性がある。
そのほか、リモートワークの増加や自転車・自動車通勤により、人的リスクとして、人員のストレス、通勤中の事故が想定される。また、総務部の人が非常に疲弊し、業務ボリュームがアンバランス化して大事故に繋がることも想像できる。さらに、リモートワークが増えると目が届かなくなり、イレギュラーなプロセスが生まれ、不正情報漏洩にも繋がる。リモートワークで時間を持て余し、就職活動に勤しむという話も耳にする。
一方、業務リスクの緩和のため、押印省略など電子決済やオンライン技術の導入、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用に繋がっていく動きもある。戦略リスクに対して、ニーズの変化をどう捉えて対応していくのか。企業として、自分たち自身の環境がどう変わっていくかを、自分たちの頭でしっかりと考えていく必要がある。
講演録の他の記事
おすすめ記事
-
-
燃料を止めるな! GSの防災・BCP災害時に機能する供給システムとオペレーション
石油製品の卸・販売、GS(ガソリンスタンド)運営を行う総合エナジー株式会社環境防災事業部開発・営業統括部長の服部洋氏に、災害発生時、電気や水と並んで重要なガソリンの供給を止めないための備えについてお話しいただきました。2022年6月21日開催。
2022/06/23
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2022/06/21
-
-
防災・BCPの実務ノウハウを他社にオープン化
重電機メーカーの明電舎は自社のBCPノウハウを他社にオープン化するとして、専門の事業会社レジリエンスラボを社内に設立しました。BCP/BCMの構築・運営を手助けするとともに、共同備蓄の枠組みもつくります。実際にPDCAをまわしてきた体験を生かし、現場実務に即した支援サービスを展開していく考えです。
2022/06/17
-
-
独自調査 富士山噴火時の企業の対応その2
リスク対策.comは、もし富士山が噴火したら企業がどのような行動をとるのかを探るため、 シミュレーション方式によるアンケート調査を実施。噴火警戒レベルが高まった時点、噴火発生時点、降灰が本格化した時点など、フェーズごとにシナリオを提示し、自社がとるであろう行動を選択肢から選んでもらいました。報告の第2弾として、シミュレーションを通じて明らかになった課題を解説します。
2022/06/14
-
元ニューヨーク市緊急事態管理局副長官が語る危機管理担当者の役割
危機管理担当者の役割とは何か。5月25日に開催した危機管理カンファレンスでは、元ニューヨーク市緊急事態管理局副長官で、現NYU Langone Health社エマージェンシーマネジメント・レジリエンス担当シニアディレクターのケリーマッキニー氏が講演した。2001年の同時多発テロ、そして世界最悪の感染状況とも言われたCovid-19への対応を通じて何を学んだことは何か。危機管理担当者はいかなる心構えで、危機発生時に何をすべきか。講演内容を紹介する。
2022/06/12
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方