限られた人員の中で効率的に行動できるよう、最低限BCPで決めておくべきことをマニュアルに盛り込む

国土交通省は9日、「下水道BCP策定マニュアル改訂検討委員会」の第3回会合を開催。「下水道BCP策定マニュアル2017年版(地震・津波編)」のとりまとめを行った。下水道事業を手がける地方自治体向けに地震や津波があった際のBCP(事業継続計画)策定について、人員が限られた中で優先順位を明確にすることを重視し、最低限対応しておくべき業務について記載した。

現マニュアルは2012年3月に改訂されたもので、2016年の熊本地震の教訓も交え再度改訂を行うこととなった。熊本地震では自治体の上位計画が優先され、下水道職員がそれ以外の業務にあたらざるをえないなど人手不足や受援体制に問題があったと分析。このため、新マニュアル案では全庁BCPの策定・調整に下水道部局が積極的に参加するなど、他部局と調整し、災害対応体制を整えておくよう呼びかけている。

発災時、マンホールから汚水があふれる、緊急輸送路での交通障害、下水道施設の被害が原因の浸水被害といった絶対に避けるべき事態を明確にBCPに定義すべきとした。そしてほかの自治体の支援者が到着するまでに必要な優先業務として、1.下水道対策本部の立ち上げ2.被害状況などの情報収集3.都道府県、市災害対策本部、関連部局への連絡4.緊急点検・緊急調査5.汚水溢水(いっすい)の緊急措置6.緊急輸送路における交通障害対策7.降雨が予想される場合の浸水対策8.支援要請および受援体制の整備―を記載した。

ほかの自治体との支援・受援のルールを確認しておくことのほか、民間企業や下水道関連の業界団体との協定を結び、協定内容や平常時の情報共有内容をBCPに明記することも呼びかけ。定期的な訓練によるBCP周知や実施後の評価による見直しも重要としている。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介